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免疫制御因子IRAK1によるWntシグナル経路を介した腫瘍形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06683
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関産業医科大学

研究代表者

三村 恭弘  産業医科大学, 医学部, 助教 (50594826)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードInnate immunity / IRAK1 / TLR/IL-1 signalling / Wnt/β-catenin signalling / Inflammation / Cancer / TLR/IL-1R signalling
研究開始時の研究の概要

炎症反応の制御するリン酸化酵素IRAK1は、多様ながんで高頻度に発現量が増加しているが、発現量の増加とがん化との関係はよくわかっていない。申請者は、これまでの解析からIRAK1が炎症の制御だけでなく腫瘍増殖にも係わる可能性を見出した。本申請では、特定の組織で人為的にIRAK1発現量を増加できるIRAK1過剰発現マウスと、ゲノム改変によってヒト固有の腫瘍増殖活性をマウスのIRAK1に付与したヒト化IRAK1マウスを用いて、IRAK1の発現量とがん化への影響を明らかにする。さらにIRAK1のがん化への関与が認められた場合には、これらマウスへのIRAK1阻害剤投与による治療効果の検討も行う。

研究実績の概要

本申請では、自然免疫関連因子であるIRAK1のもつNFκB活性化能とWnt/β-catenin経路活性化能が関連する病態、特にがん化への関与についてin vivoでの解析を行うことが目的である。
本年度は肺特異的タモキシフェン誘導型IRAK1過剰発現マウス(IRAK1-WT#21、#24、#32)を用いて、IRAK1過剰発現の肺への影響について評価を行った。作製したマウスにいて、いずれもCre活性のリークが観察され、特にWT#21とWT#32で顕著にタモキシフェン未投与での組み換えと、IRAK1過剰発現が確認された。また、WT#21とWT#32において、顕著に肺重量が増加していた。WT#24はタモキシフェンを投与より、Cre依存的な組み換えと肺重量の増加が認められた。また、タモキシフェンを投与したWT#21の肺に多量の好中球の浸潤が認められた。以上より、作製したマウスは、WT#21とWT#32ではタモキシフェン未投与でのIRAK1依存的な慢性的炎症の誘導、WT#24ではタモキシフェン依存的IRAK1過剰発現による炎症誘導が可能であると考えられる。さらに、タモキシフェンを投与した#32でβ-cateninの不安定化が認められた。これは、細胞レベルで示されたIRAK1のもつβ-catenin安定化を介したWnt/β-catenin経路活性化能と矛盾する結果である。また、タモキシフェン投与後の生存率について、WT#21は投与後7日前後で衰弱死するのに対し、WT#24は投与後7日以降も顕著な衰弱など認められなかった。
がん由来の点変異(K342N)を導入した肺特異的タモキシフェン誘導型IRAK1過剰発現マウス(IRAK1-K342N#38、#51、#60)でも、IRAK1-WTと同様の過印刷を行ったが、現状大きな差は見いだせておらず、中立的な変異である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に行った基礎的な解析により、作製した肺特異的IRAK1過剰発現マウスの特徴を把握することで、WT#21とWT#32、K342N#38とK342N#51ではタモキシフェン未投与条件での肺における慢性炎症について評価することが可能であり、WT#24とK342N#60ではタモキシフェン投与によるIRAK1過剰発現による肺への影響を評価することが可能であることが分かったため。これにより、IRAK1過剰発現によるがん化の評価に重要な長期的観察を計画することが可能になった。

今後の研究の推進方策

本年度は、作製したマウスの基本的な特徴についての調査に焦点を当てて解析を行った。次年度も引き続き基礎的な特徴の解析を続ける。具体的にはタモキシフェン未投与群での肺重量の増加率に加え、これらの肺での炎症細胞の浸潤、BALFのサイトカインやケモカインの同定と含有量の評価などを行う。また、タモキシフェン投与群についても未投与群と同様の評価に加え、長期的観察におけるがん化の評価を行う。
ヒトIRAK1のもつWnt/β-catenin経路活性化能は進化上保存されておらず、マウスの内在性IRAK1で解析できないため、点変異(L171P/S174P)を導入しWnt/β-catenin経路活性化能を付与したマウス(ヒト化IRAK1マウス)を作製した。このマウスに炎症誘導し、IRAK1活性化させた条件下でのがん化について観察を行う。具体的には、ブレオマイシン投与による肺炎条件下でのがん化について検討を行う。加えて、がん化に係わらず、組織学的に肺でのWnt/β-catenin経路の観察や、細胞増殖マーカーの確認などを行い、in vivoでのIRAK1のWnt/β-catenin経路活性化能の機能評価を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Overexpression of TLR/IL-1R pathway kinase IRAK1 induces acute pneumonia-like phenotype in mice2024

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Mimura, Kohei Otsubo, Motoyoshi Endo, Hironori Miyata, Masanori Taira, Hiroki Hikasa
    • 学会等名
      RIKEN International Symposium on Nuclear Structure and Function
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] TLR/IL-1R経路構成因子ヒトIRAK1のマウス肺特異的過剰発現の解析2023

    • 著者名/発表者名
      三村恭弘, 大坪孝平, 宮田博規, 遠藤元誉, 平良眞規, 日笠弘基
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] TLR/IL-1R経路構成因子ヒトIRAK1マウスの肺特異的過剰発現の解析2023

    • 著者名/発表者名
      三村恭弘, 宮田博規, 遠藤元誉, 早川佳香, 山本知世, 坂井公紀, 日笠弘基
    • 学会等名
      第41回産業医科大学学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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