研究課題/領域番号 |
23K06684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
佐々木 信成 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞生物部, 特任研究員 (40415170)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | dsRNA / MAVS / Sotorasib / 腫瘍免疫 / 肺がん |
研究開始時の研究の概要 |
KRAS G12C変異型に対して特異的に作用するソトラシブは、KRAS G12C変異陽性、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象として、昨年度より国内においても使用が開始された。 しかしその奏功は患者ごとに多様であり、耐性獲得機序の解明や奏功マーカーの開発が喫緊の研究課題となっている。そこで本研究では、ソトラシブ感受性との関連性が臨床試験により示唆されているLKB1およびKEAP1の遺伝子異常に着目し、「LKB1/KEAP1変異に伴う腫瘍免疫制御を介したソトラシブ耐性機序の解明」を目指す。
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研究実績の概要 |
KRAS遺伝子変異は、非小細胞肺がん(以降NSCLC)において頻繁に観察されるドライバー変異である。近年開発された、KRAS G12C変異型に対して特異的に作用する阻害剤ソトラシブは、すでに臨床応用されているが、KRAS G12C変異を有するNSCLCであっても、その奏功は患者ごとに多様であることが報告されており、耐性獲得機序の解明や奏功マーカーの開発が喫緊の研究課題となっている。 本研究は、臨床試験の結果からソトラシブ感受性との関連性が示唆されている癌抑制遺伝子LKB1とKEAP1の遺伝子異常を介したNSCLCの耐性獲得機序の解明、およびソトラシブの抗腫瘍免疫を介した治療効果の分子機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、当研究室が所有する同種マウスに移植可能なKRAS G12C変異型マウス肺線がん細胞を用いて、LKB1/KEAP1野生型あるいはLKB1欠損、KEAP1欠損およびLKB1/KEAP1二重欠損細胞を作製し、これらの遺伝子異常がソトラシブ感受性に与える影響をin vivoで解析可能なマウスモデルを構築した。現在このマウスモデルを用いて、ソトラシブ投与による抗腫瘍免疫経路への効果とLKB1/KEAP1の遺伝子異常がその経路に与える影響について解析を進めている。さらに、これらの細胞を用いて、ソトラシブとの併用効果を持つ薬剤スクリーニングをin vitroの系で行い、LKB1野生型とLKB1欠損細胞それぞれに対して、異なる特定の経路に対する阻害剤がソトラシブと併用効果を示すことを観察した。現在、これらの阻害剤が細胞内シグナルへ与える影響について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、同種マウスに移植可能なKRAS G12C変異型マウス肺線がん細胞を用いてLKB1/KEAP1野生型あるいは欠損型細胞を作製してマウスへ移植し、ソトラシブ投与による抗腫瘍免疫経路に与える影響を解析するためのマウスモデルを構築して現在解析を進めている。また、LKB1野生型とLKB1欠損しているKRAS G12C型肺がん細胞を作製し、ソトラシブに対する応答性や様々な経路に対する阻害剤との併用効果をin vitroの系で確認し、特定の経路に対する阻害剤が高い併用効果を示すことを観察した。in vivoとin vitro双方の実験が予定通りに進展しており、本年度の計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
構築したマウスモデル系を用いて、ソトラシブ投与後の腫瘍増殖あるいはサイトカイン発現や免疫微小環境に、LKB1/KEAP1の欠損が与える影響をFACSや免疫組織染色などにより解析する予定である。また、in vitroの系で同定したソトラシブとの併用効果を持つ薬剤について、細胞内シグナルへの影響を解析するとともに、ソトラシブとの併用効果を上記マウスモデル系で評価する予定である。
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