研究課題/領域番号 |
23K06692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柳生 茂希 信州大学, 学術研究・産学官連携推進機構, 教授(特定雇用) (10572547)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | CAR-T細胞 / 固形腫瘍 / EPHB4 / EPHA2 / 免疫疲弊 / antigen loss / 再発 |
研究開始時の研究の概要 |
固形腫瘍に対してCAR-T細胞療法が期待されているものの、その有効性は未だ限定的である。その理由の一つとして、固形腫瘍が持つがん抗原発現の多様性のために、抗原発現陰性クローンからの再発が生じうること、また、特定の抗原のみを認識するCAR-T細胞療法後に生じうる抗原発現のdown regulationがある。 本研究では、がん抗原としてCAR-T細胞療法の標的となっているEPHファミリーたんぱくをモデルとして、複数のEPHファミリーたんぱくを同時に認識することが可能な多重特異型CAR-T細胞を開発し、CAR-T細胞療法の際に問題となる抗原陰性再発を克服することが可能かどうか検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、EPHファミリーたんぱくを複数認識することが可能なCAR-T細胞の開発とその抗腫瘍効果の検証を行うことを目的とする。また、本手法を用いることで、単一抗原を標的とするCAR-T細胞と比較して、抗原陰性再発を克服することが可能かを検証する。現在までに、多くの癌腫に高発現している癌胎児性抗原であるEPHB4、EPHA2を同時に認識するタンパク質を同定することに成功した。さらに、このタンパク質をコードする遺伝子を、CD28、CD3ζ鎖とともに一本鎖となるようにクローニングし、このCAR発現遺伝子をピギーバックトランスポゾンプラスミドに組み込んだ。さらに、すでに我々が確立しているCAR-T細胞製造法をもちいて、EPHB4/EPHA2を特異的に認識するCAR-T細胞(以下EPH CAR-T)の製造に成功した。 特性解析の結果から、EPH CAR-T細胞のCAR発現率はおよそ30-60%であり、Stem cell memory-like T細胞分画を優位に含むことが明らかとなった。神経芽腫、または肺がん細胞株より、EPHB4陽性腫瘍細胞株、EPHA2陽性腫瘍細胞株をスクリーニングし、それぞれの細胞株とEPH CAR-T細胞を共培養したところ、CAR-T細胞は抗原刺激特異的にIFNγを産生した。また、リアルタイム細胞アナライザー解析の結果、EPH CAR-T細胞はいずれの細胞株にも強力な抗腫瘍効果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EPHA2、EPHB4に多重特異性をもつCAR-T細胞の製造に成功し、薬効が評価できていること。
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今後の研究の推進方策 |
EPHB4陽性細胞株、EPHA2陽性細胞株を用いた担がんマウスモデルを作成する。また、EPH CAR-T細胞をマウスに単回接種することで、in vivo薬効評価と、安全性試験を実施する。
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