研究課題/領域番号 |
23K06701
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
米田 明弘 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00451419)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 膵癌 / 抗癌剤抵抗性 / 転移 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は、診断治療後の5年生存率は約9%と極めて低いことが知られている。この原因には、切除不能膵癌で高頻度に診断される他臓器への転移と転移膵癌と腫瘍微小環境の構築による抗癌剤抵抗性能の増強が挙げられる。これらの問題の解決のため、本申請研究では、転移膵癌に特有分子の同定とそれら分子による転移膵癌の抗癌剤抵抗性能獲得機序の解明、候補分子抑制と抗癌剤併用による膵癌モデル動物を用いた抗腫瘍効果の検証を明確にして、膵癌の完全治癒可能な治療法の確立に向けた基礎的知見を得ることを目的とし、得られた結果は、現在の切除不能膵癌に認められる転移膵癌の克服と延命効果の改善を担う新規治療法の開発の一助となり得る。
|
研究実績の概要 |
膵癌は診断、治療後の生存率が極めて低い難治性癌であり、予後不良の改善が可能な新規治療法の確立が急務である。膵癌は、原発巣のみならず、転移膵癌も高頻度に検出され、転移膵癌に対する治療に関しても、重要な課題とされる。本研究では、転移膵癌の示す抗癌剤抵抗性能獲得メカニズムの解明とそれに基づいた新規治療法の開発を実施することを目的として、抗癌剤抵抗性に関与する候補分子を同定とその分子機能の解析を行い、本研究の目的である新規治療法の開発への糸口を探索することとしている。 我々はこれまでに転移膵癌の抗癌剤抵抗性に関連する4つの候補分子を同定してきており、それぞれの候補分子について解析を行ってきた。ヒト膵癌肝転移モデルマウスから分離した肝転移ヒト膵癌細胞において、各候補分子の遺伝子発現を抑制すると、細胞増殖および細胞運動の部分的な抑制効果が認められることが明らかとなり、抗癌剤処理を行うと、細胞死が促進されることが明らかとなった。また、各候補分子を欠損させたヒト膵癌細胞を免疫不全マウスの脾内移植し、肝臓への転移能を解析したところ、各候補分子欠損膵癌細胞の転移能が低下していることが分かった。さらに、候補分子欠損ヒト膵癌細胞を移植した免疫不全マウスに抗癌剤処理を施すと、抗癌剤の抗腫瘍効果が促進されることが明らかとなった。これらのことから、我々が同定した4つの候補分子は、膵癌の転移と抗癌剤抵抗性に関与していることが示唆された。今後は、これら4つの候補分子の膵癌転移と抗癌剤抵抗性獲得の分子メカニズムについての詳細を解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、転移膵癌の抗癌剤抵抗性に関与する分子の同定を実施し、膵癌細胞での特定の分子について検出することができ、それら候補分子に対する遺伝子発現の抑制実験が想定していた結果となり、令和5年度の予定していた研究を遂行することが出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、転移膵癌の抗癌剤抵抗性能獲得メカニズムの解明とそれをもとにした新規治療法の開発を目的としている。令和5年度では、ヒト転移膵癌細胞において、抗癌剤抵抗性に関連する4つの候補分子を同定することができた。令和6年度以降では、これら候補分子について、抗癌剤抵抗性の獲得に寄与する分子経路の特定を実施するとともに、候補分子に対する抑制剤や中和抗体を利用して、膵癌転移モデルマウスに対する抗癌剤の抗腫瘍効果の改善の検証を実施していく予定である。
|