研究課題/領域番号 |
23K06702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
須並 英二 杏林大学, 医学部, 教授 (70345205)
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研究分担者 |
小嶋 幸一郎 杏林大学, 医学部, 助教 (20549208)
吉敷 智和 杏林大学, 医学部, 講師 (20549216)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / LINE1 / 発癌リスク |
研究開始時の研究の概要 |
IBDにおける癌化のリスクには罹患期間、炎症の強さなどが関与しており、炎症性発癌の理論背景のもと、背景粘膜全体における前癌病変化が想定されている。 今回の検討では、背景粘膜における遺伝子変化を検出し、癌化リスクの高まりを判断する指標の作成を目的とする。 検討する遺伝子的変化のターゲットとしては、UC発癌の早期にプロモーター領域のメチル化やmicrosatellite instability の関与が報告されているため、その検出にLINE1 hypomethylationを用い、精密な定量化を行い検討することで新たな癌化リスク指標の作成を試みる。
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研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(UC)患者においてCACとSCを確実に鑑別する方法の確立は課題である。CAC発見に向けたサーベイランスは背景となる粘膜の癌化リスクに応じて個別化される必要があり、癌化リスクが低い状況で発生した大腸癌で侵襲の甚大な大腸全摘術は本当に必須であるかは考慮すべきといえる。 一般的な癌(抑制)遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化とLINE1遺伝子のメチル化は負の相関があり、LINE1 hypomethylationの程度(LHI)は他遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化と相関する。またLHIは、遺伝子の安定性と負の相関を示すためMSIと相関を示す。 今回は癌化リスクの評価として、UC患者およびSC患者における背景粘膜におけるLHIを検討し、LHIとCAC発生に関して検討を行い、背景粘膜におけるLHI評価がCACの鑑別に有用か、発生リスクを評価することにつながるかの検討を行う。 本年度は、大腸癌を生じたために切除されたUC患者の検体を収集した。さらに基礎的検討として、LHIの計測、測定誤差に関する評価を行い、再現性の確認を行った。ついでLHIはSCにおいて前癌状態から癌の発育進展に伴い連続的に変化することを確認した。その上でまずUC10症例で検討を行った。非癌部粘膜および癌部からLCMを用いて腺管細胞および癌細胞のみを選択的に採取しLHIを測定したところ、非癌部の粘膜においてLHIの分布は予想より狭いことが判明したが、癌部でのLHI分布は後半に及んでいた。LHIの高いもの2症例はSCの形態的特徴、病理学的特徴を有していたが統計的処理、その他の組織学的、分子生物学的評価分析を詳細に検討する必要がある。今後は、症例を蓄積し、背景粘膜のLHIに関する分析を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例の蓄積状況は問題ないと考える。 他施設の協力も仰ぐことで、UC癌化症例を40症例集める目処は立っている。 LCM機器の故障により、材料の収集に遅延を生じたが、他施設のLCM機器を使用することが可能となりこれ以上の遅延はないものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
この後の研究方針 # 背景粘膜におけるLHIの分布領域は予想より狭いため、より詳細な炎症程度、罹病期間、治療歴などの情報を収集し、症例あたりの材料取得部位を増やす。これにより背景粘膜LHIとCACの関連をより詳細に検討する。 # SCとCACの癌におけるLHIの相違を検討する。 特にSCとCACとを明確に分類することは不可能であり、CACに特徴的とされる病理組織学的あるいは分子生物学的因子ごとに詳細な分析を行う必要はある。
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