研究課題/領域番号 |
23K06712
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
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研究分担者 |
石毛 崇之 千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (30757315)
西村 基 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80400969)
星野 忠次 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (90257220)
北村 浩一 千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (90842881)
小林 崇平 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (90846940)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リボソーム / rRNA / mRNA / c-Myc / FIR/PUF60 / スプライシング変異 / ドミナントネガティブ / 核小体 / RNA polymerase II / ribosomal RNA / 転写 / 癌化機構 |
研究開始時の研究の概要 |
核小体内におけるRNA polymerase IIによるribosomal RNAの転写と癌化機構の解明を目的に以下の検討を行う。c-my遺伝子の転写抑制因子FIRおよび優性阻害作用を持つFIRΔexon2はリボソームRNA(rRNA)、スプライシング因子(hnRNPs)、mRNA結合タンパク質、TFIIHのsubunitなど免疫沈降で共沈する。本研究ではFIRおよびFIRΔexon2は「c-Myc非依存性に核小体内におけるRNAPI/IIを介したrRNAの転写やリボソームタンパク質の産生の逸脱が癌化や神経発達異常」に関与しているのではないかと考え、そのことを詳細に解析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、c-Myc非依存的に、rRNAとmRNAの転写調節を共役する機序を調べることを目的としている。その機序の解明の手掛かりとして、FUBP1-interacting repressor(FIR)がTFIIH/p62のPH domainと相互作用すること、RNAPIとRNAPIIにはRNA polymerase subunit6(RPB6)と呼ばれる共通のN-terminal tail(NTT)があること、さらにTFIIH/p62がFIRあるいはRPB6と直接相互作用することが報告されていることがある。本検討では、FIRのドミナントネガティブであるスプライシング変異 (FIRΔexon2) が、FIRとTFIIH/p62のPH domainとの相互作用を阻害することにより、RPB6とTFIIH/p62のPH domainの相互作用が誘導されてrRNAとmRNAの両方の転写を活性するのではないか、という仮説の証明を行った。 癌ではFIRのドミナントネガティブであるFIRΔexon2が発現しc-myc遺伝子の転写が活性化している。FIRおよびFIRΔexon2タンパク質が相互作用するタンパク質候補には多くのリボソームRNA,スプライシング因子(hnRNPs),mRNA結合タンパク質、TFIIHのサブユニットなどが同定された。このことから、FIRおよびFIRΔexon2は遺伝子の転写のみならず、選択的スプライシングやリボソーム形成などにも関与していることが示唆される。がんや神経難病などでは、rRNAとmRNAの両方の転写調節が変化している。本研究の基礎的な検討では、FIRΔexon2はRNAPIIのサブユニットと直接作用する可能性が示唆されている。本研究ではFIR/FIRΔexon2を軸とした核小体内のRNAPIIによるrRNAとmRNAの転写調節機構について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りの研究が行えたと考えている。本研究では、PUF60/FIR/FIRΔexon2を軸として、がん細胞と正常細胞におけるリボヌクレオタンパク(RNPs)やリボソーム構成タンパク質の相違をしらべ、選択的スプライシングや転写mRNAネットワークの違い(選択性)を網羅的に調べ癌化と神経難病のpathogensisとスプライシング変異の視点から同定することを目的として検討を行った。本研究の仮説である、本検討では、FIRのドミナントネガティブであるスプライシング変異 (FIRΔexon2) が、FIRとTFIIH/p62のPH domainとの相互作用を阻害することにより、RPB6とTFIIH/p62のPH domainの相互作用が誘導されてrRNAとmRNAの両方の転写を活性するのではないか、という仮説の証明を行った。
FIRおよびFIRΔexon2に結合する低分子化合物は癌に特異的なリボソームの合成を阻害する新規の抗がん剤候補の作用機序についても検討することができた(千葉大学から特許取得済。発明の名称:癌の予防剤および/または治療剤。 登録番号:第6057408号)。
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今後の研究の推進方策 |
FIRΔexon2とTFIIH/p62のPH domainとの直接作用を証明するためのX線結晶構造解析。残りの研究機関においては、より具体的な実験的事実として、FIRとTFIIH/p62のPH domainの直接的な相互作用を、それぞれのタンパク質を発現ベクターで作製し、X線結晶構造解析で詳細な結合部位を調べることを目的としたい。これまでの本研究の検討により、FIRΔexon2とTFIIH/p62のPH domainの構造上の特徴、およびisothermal titration calorimetry(ITC)の検討から、FIRΔexon2とTFIIH/p62のPH domainの直接的な相互作用が示唆される。この仮説の直接的な説明のためには、FIRΔexon2とTFIIH/p62のPH domainの純粋タンパク質を精製して、相互のX線結晶解析による直接作用を確認する必要がある。本検討では、FIRΔexon2とTFIIH/p62のPH domainのX線結晶解析を目指す。
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