研究課題/領域番号 |
23K06714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
加藤 琢磨 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (60224515)
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研究分担者 |
王 立楠 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00589484)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | キメラ抗原受容体 / 細胞輸注療法 / 抗酸化剤 / ミトコンドリア / T細胞疲弊 / 酸化ストレス / CAR-T / 抗酸化因子 |
研究開始時の研究の概要 |
血器腫瘍に対して著効を発揮したキメラ抗原受容体導入T細胞(CAR-T)輸注療法は、固形がんにおいてはがん微小環境の貧栄養・低酸素 状態における慢性的・持続的な抗原刺激が酸化ストレスを介してミトコンドリアの機能を障害しCAR-Tに疲弊により有効性を発揮し得ていない。本研究では、メラトニン添加による酸化ストレス応答の増強を介した疲弊抵抗性CAR-Tの調製、ならびにメラトニ ン投与によるReverse Warburg effect(乳酸分泌抑制など)を介した腫瘍微小環境の改善と腫 瘍増殖抑制作用、に基づいた固形がんに対してより有効なCAR-T輸注療法のPOCを得る。
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研究実績の概要 |
本研究では固形がんに対するCAR-T細胞輸注療法においてネックとなる、輸注CAR-T細胞疲弊を回避(軽減できる)細胞調整方法を確立し、また固形がんの微小環境を改善することで、輸注CAR-T細胞の抗腫瘍効果を高めることで、より有効な固形がんに対する治療法のPOCを確立する。CAR-T細胞疲弊に、慢性抗原刺激による活性酸素種(ROS)産生を介したミトコンドリア機能障害が関与していることから、抗酸化因子(N-acetyl-cysteine (NAC)またはメラトニン(Mel))存在下にヒト末梢血T細胞にレトロウイルスベクターを用いてCEA特異的CARを導入したCAR-T細胞を調整し、本年度はin vitroで頻回抗原刺激系を用いた慢性抗原刺激系においてCAR-T細胞機能に及ぼす影響を調べた。NAC存在下に調整したCAR-T細胞は細胞内グルタチオンレベルが3倍程度に上昇しており、それに伴って細胞内ROSならびにミトコンドリア内ROSは低下していた。TMRM(ミトコンドリア膜電位)/TGM(ミトコンドリア量)比はNAC処理CAR-T細胞において高く、ミトコンドリア呼吸能も高かった。このようなCAR-T細胞を、調整直後とin vitroにて固相化CEAで2日おきに4回刺激した後に再度CEA陽性腫瘍と共培養すると、NAC処理CAR-T細胞は高いサイトカイン産生能と強い細胞傷害活性を有していた。CAR-T細胞の疲弊マーカーの一つであるPD-1発現の低下が見られたが、他の活性化抑制マーカーであるTim-3、LAG-3とCTLA-4の発現には差が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗酸化剤前処理によるCAR-T細胞の疲弊抵抗性獲得がin vitroにおいて概ね確認できた。詳細なメカニズム解析が更に必要であるが、in vivoにおける疲弊抵抗性の確認と疲弊抵抗に関与するミトコンドリア機能維持のメカニズム解析に向けた基礎が確立できたので、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は担がんマウスを用いて輸注CAR-T細胞の抗腫瘍効果を解析するとともに、回収したCAR-T細胞の疲弊状態をサイトカイン産生、疲弊マーカー解析、ミトコンドリア機能解析を行う予定である。
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