研究課題/領域番号 |
23K06727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
研 美紗 金沢医科大学, 医学部, 助手 (60850625)
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研究分担者 |
小屋 照継 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70807164)
下平 滋隆 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80345751)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | がん免疫 / 樹状細胞ワクチン / 末梢血 / 獲得免疫 / RNA-seq / 免疫抑制細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療における樹状細胞(DC)ワクチンは、体外で単球から分化誘導された後、腫瘍抗原特異的なエフェクターCD8+T細胞(CTL) を誘導することで、抗腫瘍効果を期待する治療である。DCワクチン単独療法においても、機能的CTLの非誘導例が散見されている。近年のDCワクチンと免疫チェックポイント分子阻害剤や分子標的薬との併用療法においても、その奏効率は30%を超えていない。本研究の目的は、末梢血を用いて、DCワクチン療法の機能的CTL非誘導性の原因を明らかにし、どの分子との併用療法が最適かを明らかにすることである。また、治療前に適応療法かを決定する手段となる治療予測マーカーを同定することである。
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研究実績の概要 |
がん治療における樹状細胞(Dendritic cells; 以下、DC)ワクチンは、まずex vivoで分化誘導したDCを体内へ戻し、腫瘍抗原特異的なエフェクターCD8+T細胞(細胞傷害性T細胞;以下、CTL) を誘導する。誘導されたCTLは、抗腫瘍効果を発揮する作用が期待されている。近年、DCワクチンとの相乗効果を狙い、免疫チェックポイント分子阻害剤や分子標的薬との併用療法が行われているが、奏効率は30%を超えていない。申請者らが携わっているDCワクチン療法においても、機能的CTLの非誘導例が確認されている。 本研究の目的は、DCワクチンによる機能的CTL誘導例と非誘導例の末梢血を用いて、DCワクチン療法の機能的CTL非誘導性の原因を明らかにし、どの分子との併用療法が最適かを明らかにすることである。さらに、原因分子やそれを産出する細胞を特定することで、治療前に適応か否かを決定する手段となる治療予測マーカーを同定することである。 現在のところ、DCワクチンによる機能的CTL誘導例と非誘導例に影響を与えうる細胞集団を検出するための細胞分離の方法や表現型の解析の方法は検証済みである。フローサイトメトリーを用いた制御性T細胞(Treg)と骨髄由来抑制細胞(MDSC)の末梢血パネルを標準化した。DCワクチンを受けたがん患者において、獲得免疫が得られた患者と得られなかった患者の検体から免疫細胞を分離し(N=2またはN=3)、その試料を用いて次世代シークエンサーでの網羅的遺伝子発現の比較を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の課題1である樹状細胞ワクチン治療を受けた患者と受けていない患者のTregやMDSCの割合の検証は、当該課題はフローサイトメトリーを用いて解析する予定で、試薬や資材の調達は完了し、予備検討も実施済みであり、すぐに測定できる状態ではある。しかし、希少かつ長期保存検体を用いた解析となるため、適切な解析条件を確立するのに時間を要している。そこで、令和6年度の課題2である網羅的遺伝子発現比較の結果を踏まえて、課題1を実施予定とした。網羅的遺伝子発現解析で使用する細胞の分離やRNA抽出の質的量的条件検討を要しているが、獲得免疫を左右する因子の候補スクリーニングとして活用できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の上半期中に網羅的遺伝子発現解析(RNA-seq)を終わらせ、標的細胞と標的分子の候補を抽出する。令和6年度下半期中に、獲得免疫がついた患者とついていない患者での標的細胞の存在比率の比較や、標的分子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質レベルでの再現性を確認する。獲得免疫を左右する因子の候補が特定できた場合には、直接的な阻害剤やシグナル伝達阻害物質を添加し、その特異性を評価する。多数の患者検体による実証が困難な場合は、推定できる根拠データを示したうえで、症例報告とすることも考える。
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