研究課題/領域番号 |
23K06741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河合 洋平 京都大学, iPS細胞研究所, 特定助教 (90623364)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | iPS細胞 / ヘルパーT細胞 / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
同一のiPS細胞からT細胞と樹状細胞を作製し、両者を組み合わせた新たな免疫療法を提案したい。iPS細胞からのキラーT細胞とヘルパーT細胞の作製には既に成功しているため、iPS細胞からの樹状細胞の作製をまず試みる。次いで3つの細胞種を腫瘍免疫において協調的に働かせる事が可能か検討する。さらにin vitro培養系での機能修正の容易さを利用して、上記の細胞のさらなる品質改良にも取り組む
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研究実績の概要 |
本研究では、ヘルパーT細胞の各分化段階の状態を網羅的に解析することで、分化段階を規定する必要十分因子を抽出し、高機能性ヘルパーT細胞の作製法の樹立を目的としている。具体的にはiPS細胞からのヘルパーT細胞を前例のないフィーダーフリー条件下にて作製する事を目指している。 本年度ではCD4/CD8-DPステージからCD4-SPステージに至る分化培養系を集中的に検討した。TCRシグナルとNotchシグナルをそれぞれ最適化することにより、フィーダーフリー条件でCD4-SP T細胞を作製する事に成功した。single cell RAN-seq (scRNA-seq)解析の結果、CD4-SP T細胞はヘルパーT細胞のマスター転写因子として知られるThpokをはじめ、多くのヘルパーT細胞関連分子を発現している事が明らかとなった。機能的には、CD4-SP T細胞がCD40Lを高発現し、樹状細胞の成熟やIL-12産生を誘導する事を確認した。 さらに臨床応用に適合したフィーダーフリー条件でCD4-SP T細胞を増幅したところ、活性化後にヘルパー機能に加えて細胞傷害活性も獲得する事が明らかとなった。その結果、ヒトがん細胞を用いた異種移植がんモデルにおいて、CD4-SP iPS-T細胞はキラーT細胞の共移植なしに単独で、高いvivo抗腫瘍効果を示す事が明らかとなった。 完全フィーダーフリー条件で作製したCD4-SP iPS-T細胞はHLAクラスII依存的なキラーかつヘルパーとして、有力な抗腫瘍性細胞製剤になり得る事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T細胞分化培養系の最適化だけでなく、T細胞産物の網羅的評価、vitro, vivoにおける機能評価がいずれも着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現状iPS細胞由来ヘルパーT細胞の作製効率は学術的な研究としてまとめるには十分であるが、臨床応用には十分ではない。臨床応用では質にばらつきのあるiPS細胞から安定して高効率にT細胞を作製する必要がある。scRNA-seqの結果から、ヘルパーT細胞を得る上で有望な分子経路をいくつか同定した。今後はそれらの有用性を検討して、さらなるヘルパーT細胞分化系の最適化につなげていきたい。
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