研究課題/領域番号 |
23K06759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所 |
研究代表者 |
小野 裕介 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, ゲノム診断研究部, 部門長 (40742648)
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研究分担者 |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00736332)
水上 裕輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30400089)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 早期診断 / リキッドバイオプシー / 遊離核酸 / 膵癌 / IPMN / ドライバー変異 / ゲノム編集 / バイオマーカー / 遊離RNA |
研究開始時の研究の概要 |
分子サブタイプに基づく精密医療の導入において、疾患特異的なRNA発現プロファイルは腫瘍の悪性化に向かう直接の発現経路の変化に応じたバイオマーカーになり得ると考えられる。本研究では膵癌の中でも早期に治癒切除可能な膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) におけるドライバー遺伝子変異の蓄積パターンに伴う転写経路の変化を統合的に評価する診断系の基盤作りを目指す。高度に断片化された体液中の遊離RNAの安定的な検出系の構築とゲノム編集細胞株を用いたIPMN特異的なドライバー遺伝子KRAS、GNAS変異による遺伝子プロファイルの解析データを基盤として、患者由来の体液サンプルにおける発現経路変動の検出を行う。
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研究実績の概要 |
がん診断において、低侵襲かつ高感度なリキッドバイオプシーについて、早期診断、前癌病変のリスク評価のレベルで運用するために、DNAによる変異解析を補完する高精度な次世代マルチオミクス解析系の構築が期待されることから、本研究課題では、ドライバー遺伝子変異を高精度に検出すると同時に特定の遺伝子変異が引き起こす発現経路の変化を体液より検出する「マルチ核酸リキッドバイオプシー」の系を、癌早期発見の診断系として構築することを目的としている。 2023年度は、不死化正常膵管上皮細胞株(hTERT-HPNE: CRL-4023)を用いて膵癌前駆病変の一つである膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) のドライバー遺伝子GNAS遺伝子とKRAS遺伝子の変異導入を目的としたCRISPRシステムによるゲノム編集を行った。取得された変異株に関し、ドライバー遺伝子変異と関連する下流経路の変化についてRNA-seqによる発現解析を行った。 また一方で、本年度の目的の一つ手である体液遊離RNAの効果的な検出を目指し、膵がんに関連すると予想される遺伝子を一次解析候補とし、RNAのデジタルPCRを使用した検出解析法の構築、体液からの抽出方法の検討を行った。抽出されるRNAの収量は非常に微量であるため、Qubit等を用いた定量比較は難しい状況であったが、ターゲット領域を検出可能なコピー数に前増幅することにより発現量の比較が可能となった。また、ターゲット領域はマルチプレックス増幅により、一反応での同時増幅が可能である。現在、患者由来の血液および膵臓由来の体液を用いて比較検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で示したとおり、不死化正常膵管上皮細胞株(hTERT-HPNE: CRL-4023)を用いて膵癌前駆病変の一つである膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) のドライバー遺伝子GNAS遺伝子とKRAS遺伝子の変異導入を行ったが、RNA-seqの結果に問題があり、細胞株の再取得を含めたバリデーションを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞モデルの完成を目指し、RNA-seq解析によってKRASやGNAS変異が転写制御にどのように影響を与えるかについての解析を進める。候補遺伝子のリスト化を目指して遊離RNAにおけるデジタルPCR検出を進める。
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