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膵癌の浸潤・転移を抑制する核酸化合物のヒト膵癌マウスモデルを用いた薬効評価

研究課題

研究課題/領域番号 23K06764
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関高知大学

研究代表者

小笠原 光成  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10605215)

研究分担者 谷内 恵介  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (50626869)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード膵癌 / 核酸化合物 / siRNA / DDS
研究開始時の研究の概要

HOXB7とCCDC88AのmRNAを標的としたRNA干渉の一つである短鎖二本鎖RNA(siRNA)を設計して核酸製剤の実用化を目指している。本研究では、我々の樹立したヒト膵癌オルガノイド移植マウスモデルを用いて以下の2つの実験を行う。
①リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88AのmRNAを標的とするsiRNAの抗腫瘍効果を解析する。
②リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88AのmRNAを標的とするsiRNAを投与して経時的にマウス血清における膵癌の腫瘍マーカーであるCA19-9の濃度測定、および投与後の腫瘍組織の病理組織学的検討を行う。

研究実績の概要

浸潤している膵癌細胞には葉状仮足が多数形成されていることから、葉状仮足に着目して膵癌細胞の浸潤・転移に関わるシグナル伝達経路の解明を進めている。HOXB7とCCDC88AのメッセンジャーRNA (mRNA)はRNA顆粒に内包されて葉状仮足まで運ばれ、局所翻訳されることによりExtracellular Signal-regulated Kinase(ERK)シグナル伝達経路を活性化することを明らかにした。活性化されたERKは、葉状仮足形成を促進して膵癌細胞の浸潤に関わっている。HOXB7とCCDC88AのmRNAを標的としたRNA干渉の一つである短鎖二本鎖RNA(siRNA)を設計して核酸製剤の実用化を目指している。本研究では、我々の樹立したヒト膵癌オルガノイド移植マウスモデルを用いて以下の2つの実験を行う。
①リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88AのmRNAを標的とするsiRNAの抗腫瘍効果を解析する。進行膵癌患者に対する標準療法であるゲムシタビン+nabパクリタキセル療法(GEM+nab-PTX療法)と薬効を比較する。
②リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88AのmRNAを標的とするsiRNAを投与して経時的にマウス血清における膵癌の腫瘍マーカーであるCA19-9の濃度測定、および投与後の腫瘍組織の病理組織学的検討を行う。
2023年度は上記①の実験計画を実施した。各群3匹のヒト膵癌オルガノイド移植マウスに、リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88Aに対するsiRNA核酸化合物を1回/週の頻度で8週にわたり合計8回尾静脈に注射した。コントロール群(投薬なし)、GEM+nab-PTXを投与した群を設定し、腫瘍増大抑制効果を比較した。各群8匹として再現性を確認するマウス実験を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のsiRNA核酸化合物が既存の標準治療であるGEM+nab-PTXより優れた奏効率を示すかを明らかにする下記実験を予定通りに実施することができた。
ヒト膵癌オルガノイドを皮下に移植された各群3匹のヒト膵癌オルガノイド移植マウスに、リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88Aに対するsiRNA核酸化合物を1回/週の頻度で8週にわたり合計8回尾静脈に注射した。ヒト膵癌オルガノイド移植の翌週から投与を開始し、全身状態の変化を観察した。siRNA核酸化合物の8回目投与を終了した翌週まで経時的に腫瘍サイズを測定して腫瘍増大抑制効果を解析した。コントロール群(投薬なし)、GEM+nab-PTXを投与した群を設定し、腫瘍増大抑制効果を比較する。GEM+nab-PTX投与群では、ゲムシタビン(50mg/kg)+ナブパクリタキセル(0.5mg/kg)を1回/週、3週連続腹腔内投与し、1週休薬にて8週間繰り返して投薬した。予備試験を順調に実施することができた。

今後の研究の推進方策

リガンド+カチオン性ペプチドを付加したHOXB7とCCDC88AのmRNAを標的とするsiRNAを投与して経時的にマウス血清におけるCA19-9の濃度測定、および投与後の腫瘍組織の病理組織学的検討を行う。
2023年度に実施したマウス実験を各群8匹にて実施して再現性の確認実験を行う。投薬終了後、すべての群のマウス(各群8匹ずつ)から膵癌組織、肝臓および肺を摘出し、ホルマリン固定する。ヘマトキシリン&エオジン染色を行い、組織標本を作成する。膵癌原発巣からの筋層浸潤の程度・皮下脈管への侵襲、皮下リンパ節転移および肺と肝臓への遠隔転移を解析する。核酸化合物投与群では、抗HOXB7抗体、または抗CCDC88A抗体を用いて組織染色を行い、共焦点顕微鏡により観察を行う。siRNAの取り込まれた膵癌細胞において、HOXB7とCCDC88Aが特異的に発現抑制されていることを確認する。さらに、Ki67等の細胞増殖マーカーの免疫組織染色、およびTUNEL法によるアポトーシス検出を行い、投与した核酸化合物と薬剤の腫瘍増大抑制効果との関連性を検討する。
再現性確認のマウス実験にて投与開始後3週毎にすべての群のマウスから少量採血を行う。血液中の膵癌腫瘍マーカーCA19-9濃度をELISA法にて測定する。ヒト膵癌オルガノイド移植マウスでは、腫瘍が大きくなるにつれて経時的に血液中のCA19-9が上昇する(Hum Cell 35:735-44, 2022)。ヒト膵癌組織の増大が抑制されるとマウス血液中のCA19-9上昇は抑制されるので、薬効評価の参考にする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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