研究課題/領域番号 |
23K06774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60453586)
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研究分担者 |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / ガドリニウム / 骨腫瘍 / トランスポーター / 中性子補足療法 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、新しいガドリニウム(Gd)中性子捕捉療法剤の腫瘍細胞への取り込みメカニズムをin vitroで解明し、最適な中性子照射量と投与量をin vivoで調べ、腫瘍抑制効果を検証することが目的である。過去の研究で、Gd-EDMTPが骨に集積することがわかったため、本研究では腫瘍細胞領域への取り込みメカニズムを調べ、最適な治療法を開発することを目指している。
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研究実績の概要 |
以前の我々の研究から、Gd-EDTMPがマウスで骨表面に集積することが確認されていた。本年度は、リン酸カルシウム固相化プレート(PCa)の共存下で、ビスホスホネート類似の作用をするかどうかを明らかにするために、骨リモデリング過程におけるGd-EDTMPの役割を評価した。 実験は、RAW264細胞を使用し、これをreceptor activator of nuclear factor-kappa B ligand (RANKL)を添加することで破骨細胞に分化させる手法で行った。細胞は特定の密度で24ウェルプレートに播種され、Gd-EDTMPを異なる濃度(2 mg-Gd/kgと20 mg-Gd/kg)において培養初日または4日目に添加した。対照群として、ガドテリドールを使用した。細胞培養開始から7日後に細胞とPCaのサンプルを採取し、ICP-MSによりGdの分析を行った。 分析の結果、20 mg-Gd/kgのGd-EDTMPを含む培養条件下で、PCaコーティングのあるウェルではGdの細胞内濃度が31.5±5.6 ng/well、コーティングがない場合は10.6±2.4 ng/wellと測定された。これはPCaコーティングの有無がGdの細胞内蓄積に大きく影響していることを示していると考える。また、PCaコーティングがある群では、GdのPCa中濃度も有意に高くなった。 細胞形態の観察では、Gd-EDTMPが添加された群では破骨細胞の分化が抑制され、特に4日目に低用量で追加した場合、破骨細胞の形成が少なく、小さなものが観察された。この結果は、Gd-EDTMPの破骨細胞への分化抑制効果が用量依存的であり、またPCaの存在に依存することを示していると考えられる。PCaがない条件下では、この分化阻害効果は観察されなかった。Gd-EDTMPは中性子捕捉療法に用いなくても破骨細胞の活動を押さえる新たな作用の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨腫瘍へのGd製剤の集積がみられるにもかかわらず、中性子照射による腫瘍抑制効果が十分でないことから、腫瘍部へのGd製剤の集積メカニズムをin vitroで検討を進めている。検討にもちいるin vitro系の確立は順調にすすんでいるが、本年度目標とした中性子照射にいたるまでにいかなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Gd-EDTMPは中性子捕捉療法に用いなくても破骨細胞の活動を押さえる新たな作用の可能性が示唆されたことから、Gdの投与量依存性や破骨細胞分化にともなうマーカーの探索など、あらたな解析手法を併用して検討を進めていく。また、中性子照射による影響も併せて確認を行っていく。
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