研究課題/領域番号 |
23K06780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
増田 有紀 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (40421284)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がん免疫 / 樹状細胞 / CD8 T細胞 / がん / 免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん治療において、免疫チェックポイント阻害薬を始めとした免疫療法が注目されているが、その奏効率は10~30%に留まっており、新しい治療法の開発が強く求められている。樹状細胞(DC)は、がん抗原特異的T細胞を誘導する司令塔の役割を果たしているが、現在臨床で用いられている免疫チェックポイント阻害薬は、いずれもT細胞を標的としており、DC機能を標的としたがん免疫療法の薬は存在しない。そこで本研究は、DC機能を標的とした新たな治療標的分子の同定とその医療応用への基盤となる研究を目指す。
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研究実績の概要 |
腫瘍免疫では、従来型樹状細胞1(cDC1)がMHCクラスI依存的にがん抗原をCD8陽性T細胞に交差提示し活性化させることで、腫瘍細胞を傷害する。本年度はまず、neudesinがこの腫瘍特異的免疫応答を阻害するか検討した。野生型(WT)またはneudesinノックアウト(KO)マウスに、がん抗原としてOVAを発現するEG7リンホーマを皮下投与すると、WTと比べてKOマウスで腫瘍の成長が抑えられた。この時、腫瘍中のOVA特異的CD8陽性T細胞がKOマウスで有意に増加した。また、腫瘍および腫瘍流入リンパ節において、MHCクラスⅠ上にOVAを提示するcDC1数もKOマウスで有意に増加した。以上よりneudesinは、腫瘍特異的免疫応答を抑制することが示唆された。 次に、cDC1の活性におけるneudesinの意義の解明と、cDC1ワクチンによる新たながん治療の可能性を検証することとした。WTまたはKOマウス骨髄細胞をFlt3リガンドとGM-CSF存在下で14日間培養しcDC1を誘導した。このcDC1を腫瘍細胞由来DNAで刺激すると、表面抗原(CD86、CD80、CD40)や、Cxcl9とCxcl10、Il12bの発現が、WTと比べてKOで有意に増加した。 KO由来cDC1の抗がん効果を調べるために、EG7がん細胞をWTマウスの背部左右2箇所に移植しがんモデルを作成した。がん抗原OVAとDNAで刺激したWTまたはKO由来cDC1を右腫瘍内へ投与すると、KO由来cDC1を投与した腫瘍はOVA特異的CD8陽性T細胞応答が誘導され、顕著に成長が抑制された。さらに、KO由来cDC1は、投与部位より離れた左腫瘍でも同様に、OVA特異的CD8陽性T細胞応答を誘導し成長を抑制した。したがって、neudesinシグナルは、がん治療に対するcDC1ワクチン療法開発の新たな治療標的になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は2023年度実施予定の課題の一部(がん抗原特異的免疫応答にneudesinが与える影響)に加え、2024年、2025年度実施予定の課題の一部(cDC1機能におけるneudesinの役割と、cDC1ワクチン療法への応用)を繰り上げて実施した。当初の予定と入れ替えて実施した形だが、2023-2025年に実施する予定の課題は研究期間内に問題なく遂行できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本来2023年度に実施予定であった、neudesinが自然発生乳がんに及ぼす影響について、自然発生乳がんモデル (MMTV-PyMT) を用いて検討する。
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