研究課題/領域番号 |
23K06787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51010:基盤脳科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上田 瑛美 九州大学, 医学研究院, 助教 (30911359)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 網膜症 / 認知症 / 網膜バイオマーカー / 網膜神経節細胞 / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、健診眼底画像を用いて、1)網膜静脈血管蛇行度と脳萎縮部位との関連、2)網膜動脈血管径と脳微小血管障害発症との関連を検討することを目的とする。古くから、眼底から脳を視る研究は行われており、眼底画像解析技術が進歩した今、研究を行う好機である。そこから得られるエビデンスは、健診で認知症の脳形態的特徴を早期発見する優しい検査を提供するとともに、「脳の健康」の実現に向けて極めて重要な意義があると考えられる。
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研究実績の概要 |
日本人地域高齢住民において網膜症と認知症発症との関連を検討した。2007年の久山町健診を受診した60歳以上の男女のうち、眼底写真が得られた1,709名を2017年まで追跡した。網膜症は眼底写真からModified Airlie House Classificationに従って判定し、網膜所見別では網膜毛細血管瘤および網膜出血に区分した。認知症はDSM-ⅢRの基準で診断した。網膜症を有する認知症発症リスクを、コックス比例ハザードモデルを用いて算出した。年齢、性、学歴、高血圧、糖尿病、総コレステロール、body mass index、脳卒中既往歴、喫煙、飲酒、運動習慣を共変量として用いた。追跡期間中に374名が認知症を発症した。認知症の粗発症率は、非網膜症群と比較し、網膜症群で有意に増加した(p=0.01)。網膜症群における認知症発症リスクは、非網膜症群と比べ有意に上昇した(多変量調整後:ハザード比 1.64、95%信頼区間 1.19-2.25、p<0.01)。網膜所見別の検討では、網膜毛細血管瘤を有する者は、網膜毛細血管瘤を有さない者と比較し認知症発症リスクが有意に上昇した(ハザード比 1.94、95%信頼区間 1.37-2.74、p<0.01)。わが国の地域高齢住民において、網膜症を有するものは認知症発症リスクが上昇することを明らかにした。網膜症の評価は、簡便で非侵襲的な眼底撮影検査から得られるため、認知症のハイリスク群の早期発見に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
なし
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今後の研究の推進方策 |
65 歳以上の久山町住民2 500 名を対象に今回構築した眼底カメラを撮影するとともに、認知機能検査を含む包括的調査を実施中である。その結果を用いて、認知症診断に関わる眼パラメータを検討し、認知症診断のスクリーニング法としての有用性について検討中である。
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