研究課題/領域番号 |
23K06789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
矢追 健 帝京大学, 文学部, 講師 (80647206)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自己認識 / 自閉スペクトラム症 / 脳磁計(MEG) / 自閉スペクトラム賞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,特に就学前の自閉スペクトラム症(ASD)児および定型発達児を対象として,「自分」が「自分」であることを認識する自己認識が必要とされるような課題を行っている際の脳神経活動の違いについて,小児専用に開発された脳磁計(MEG)を用いて検討し,その違いがASD児における社会性の障害とどのようなかかわりをもつのかを明らかにすることである。ASD児を対象とした研究においては,ASD児の自己認識機能とかかわる神経基盤のもつ特徴や,それがASD児の社会性に与える影響については検討がほとんど行われておらず,本研究はその先鞭をつけるものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,特に就学前の定型発達(TD)児および自閉スペクトラム症(ASD)児を対象として,「自分」が「自分」であることを認識する自己認識が必要とされるような課題を行っている際の脳神経活動の違いについて,小児専用に開発された脳磁計(MEG)を用いて検討し,その違いがASD児における社会性の障害とどのようなかかわりをもつのかを明らかにすることである。このため本研究では就学前の定型発達(TD)児および自閉スペクトラム症(ASD)児を対象として,我々のアイデンティティを形成する要素のひとつであり,自己認識の発達においても比較的初期に成立することが知られている自己顔の認知について,その脳神経基盤を特にネットワークの観点から検討する。実験にあたっては,被験者となる幼児自身,幼児の保護者(母親または父親)そして本人以外の幼児やその保護者の顔写真等を撮影し,小児専用に開発された脳磁計(MEG)によって脳神経活動を測定しながらそれらをランダムに呈示する。2023年度は,就学前の幼児が取り組むことができる課題の作成とそれを用いた予備実験を実施した。自己顔,比較対象となる他者顔,また情報量は等しいが顔ではないモザイク刺激について,どの程度の大きさで,どの程度の時間呈示するべきか,また幼児が飽きずに取り組める実験時間は何分程度かといった各パラメータについて調整を行い,予備実験として,主な検討対象とする予定の5~6歳児よりもさらに年少の幼児(1~2歳児)で実際に実験が実施できることを確認した。現在本実験の実施に向けてさらに準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ASD児はメンタライジングをはじめとする社会的能力に障害があることはよく知られているが,その要因のひとつとして自己認識の機能にも定型発達者とは異なる特徴がある可能性が近年指摘されつつある。このため本研究では自己認識のひとつである自己顔認知に着目し,自己認識の成立にとって重要な時期である乳幼児期のASD児およびTD児が自分自身の顔を見た際の神経活動を計測し比較することを目指している。2024年度は各種実験パラメータの調整を行い,本実験としてまずはTD児での計測を行う予定であった。しかし,研究代表者がMEGやfMRIをはじめとする実験装置類を所有する金沢大学から異動となり,様々な面で従来通り研究を進めることが困難となった。このため,実験の実施および研究成果の公開までにかかる時間を考慮すると,本研究は現時点では交付申請時に記載した実験計画に比べ若干の遅れがあると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,予備実験によって調整された実験パラメータをもとに,本実験としてTD児およびASD児の神経活動を計測することに注力する。MEGによって得られた脳神経活動データは,自己顔とそれ以外の顔の条件,またTD児とASD児とを比較することによって,自己顔認知に特徴的な活動を分析する。その際にはMEGの高い時間分解能を活かした複雑ネットワーク解析を行うことによって,特に自己顔認知と関係すると考えられている左脳の紡錘状回,両側の中前頭回および下前頭回,そして右脳の楔前部と呼ばれる領域間のネットワーク結合強度を評価する。研究成果は海外専門誌への投稿を予定している。
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