研究課題/領域番号 |
23K06804
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 和泉 (渡辺和泉) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (80751031)
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研究分担者 |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10334674)
照沼 美穂 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50615739)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 社会的敗北ストレスモデル / カイニン酸受容体 / GluK / カイニン酸 / グルタミン酸受容体 / GluK3 / ストレス / 不安 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病はストレスが引き金となり発症するが、養育環境や遺伝要因により形成されるストレス脆弱性は各人で異なる。申請者は、興奮性神経伝達物質の受容体の一つであるカイニン酸型グルタミン酸受容体の機能解明の過程でGluK3KOマウスだけが、強烈な「不安行動の減少」を示したことから、GluK3KOマウスは抗不安モデルマウスとして有用であることを見出した。さらにこのマウスのストレス耐性能を調べたところ、ストレス耐性が亢進していることがわかってきた。そこで本研究は、作出した抗不安モデルマウスを用いて、GluK3によるストレス耐性神経回路を同定し、うつ発症の引き金となる分子神経回路を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、現代社会のストレスに似せた、社会的敗北ストレスを、野生型とGluK3KOマウスに与えてうつ様症状を誘発させ、ストレス耐性度合いの解析を試みる。そこで、マウスのストレス耐性を評価するために、社会的敗北ストレスモデルを立ち上げた。当該モデルは、慢性的に継続する精神的ストレスにより、うつ症状を呈するモデルである。まずは、野生型マウスを用いて当該モデルを行い、その後スクロース嗜好テストと社会的相互作用テストと高架式十字迷路テストを行ったところ、解析マウスのうち半数以上でストレス負荷を確認できた。したがって社会的敗北モデルが確立できた。次にGluK3KOマウスについてうつ症状を検証したところ、解析マウス中すべてでうつ様行動が低い結果となった。今後は、どの領域がストレス負荷時の神経活動が、野生型マウスと比べGluK3KOマウスで変化しているのか探索する。 また、本研究の要となる、GluK3を発現する神経細胞でのみ転写活性化因子tTAを発現するGluK3tTAマウスを作製した。このマウスを用いることで、ストレス負荷時に異なる活動を示す領域の神経活動を操作することができる。昨年度はGluK3tTAマウスを繁殖させ、tTA発現の確認を行った。具体的には、当該マウスにPHPeBウイルスを用いて、Syn-CreとTRE-tdTomatoを導入した。その結果マウス脳内で強いTdTomatoの傾向が見られ、GluK3発現細胞を可視化することができた。この結果から、作製したマウスは有用であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属先を異動したため行動解析装置などセットアップする必要が生じ当初の予定よりも遅れを取ったが、順調に、社会的敗北ストレスや高架式迷路テストや社会的相互作用テストを立ち上げることができた。マウスの移管も円滑に進めることができ、解析対象マウスの繁殖も軌道に乗った。野生型マウスを用いて、社会的敗北ストレスを与え、社会相互作用テスト、スクロース嗜好テスト、高架式十字迷路テストをおこなったところ、半数のマウスでうつ様行動を確認できストレス負荷テストが問題なく確立できた。GluK3KOマウスに同様の試験を行い、GluK3KOマウスのストレス耐性を調べることができた。 また、本研究の要となる、GluK3を発現する神経細胞でのみ転写活性化因子tTAを発現するマウスを繁殖させ、tTAの発現を確認することができた。 以上の点から順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定していた計画通り行うことで問題ないと考える。ストレス誘導時に、野生型マウスと比較して神経活動に差があるGluK3KOマウスの脳領域をcFOS染色で探索する。
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