研究課題/領域番号 |
23K06812
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 実奈美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00778764)
|
研究分担者 |
岡野 ジェイムス洋尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ALS / TDP-43 / スプライスバリアント / RBP |
研究開始時の研究の概要 |
RNA結合タンパク質(RBP)の一つTDP-43は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の大多数で神経組織への異常沈着、および孤発性症例でのスプライシング機能異常が見られ、病態への密接な関与が示唆される。TDP-43の発現量や機能は自己調節機構により厳密に管理されており、その一環で複数のスプライスバリアントの比率を一定に保つことが知られている。我々はそのスプライスバリアントの一部にドミナントネガティブ活性があり、その産生が複数のRBPにより制御されていることを発見した。本研究は、運動ニューロン特異的なRBP調節ネットワーク機構を解明し、TDP-43の機能是正を可能とするALS治療法開発に貢献する。
|
研究実績の概要 |
これまでの本研究において、3つのALS関連RBPグループ(Ⅰ. ALSの原因遺伝子、Ⅱ. 神経特異的RBP、Ⅲ. Ⅰ以外でALS病態との関連が示唆されるRBP)には、TDP-43の選択的スプライシングに影響しドミナントネガティブスプライスバリアント(ドミネガsv)の産生を制御するものが複数含まれていることがわかっている。令和5年度は、これらALS関連RBPによるTDP-43の選択的スプライシング制御がドミネガsv翻訳産物の発現にも影響することがわかった。さらに、これらのTDP-43制御RBPsは相互の発現誘導や機能的阻害を介した2重のネガティブフィードバック機構によりTDP-43の活性を制御することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、ALS関連RBPによるTDP-43の選択的スプライシング制御がドミネガsvの発現にも影響することを見出した。我々が以前作製したドミネガsv特異的抗体を用いた解析により、hnRNP Kがドミネガsvの発現を誘導する一方でhnRNP A1はその発現を抑制することがわかった。また、hnRNP KはhnRNP A1の発現を著しく誘導したがその逆は影響が見られなかった。hnRNP KとhnRNP A1の共発現実験により、hnRNP Kによるドミネガsvへのスプライシングおよび発現誘導がhnRNP A1により抑制され、両者は機能的に阻害関係にあることが示唆された。これらのことから、hnRNP Kによるドミネガsvの発現誘導を介したTDP-43活性抑制機構に加え、hnRNP Kの過活性をhnRNP A1が抑制してTDP-43過抑制を制御する2つのネガティブフィードバック機構の存在が示唆された。本機構はTDP-43の厳密な発現および機能維持機構の一端を担うと考えられ、その破綻がALSで見られるTDP-43の異常に繋がることが推察される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は運動ニューロン特異的なRBP調節ネットワーク機構解明の為、令和5年度に明らかとなった2重のネガティブフィードバック機構と神経特異的RBPsとの関連に着目し研究を推進する予定である。
|