研究課題/領域番号 |
23K06818
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
行方 和彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (70392355)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経保護 / 軸索再生 / 緑内障 / 遺伝子治療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では網膜の神経に注目し、DOCK3シグナルの上流因子であるTrkBを用いた遺伝子治療によって神経再生を強力に促し、軸索損傷によって失明したマウスの視機能回復を試みる。アデノ随伴ウィルス(AAV)による遺伝子発現、透明化組織による樹状突起の立体画像解析、optogeneticsによる分子活性制御、遺伝子改変マウスなどの様々なツールを利用して、神経保護および軸索・樹状突起再生療法の可能性に挑戦する。本研究から得られた知見は緑内障や脊髄損傷など、軸索変性を引き起こす多くの神経変性疾患において、広く有益な成果となることが期待される。
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研究実績の概要 |
緑内障は視神経軸索が障害を受け、その細胞体である網膜神経節細胞(RGC)が死に至ることで、視野障害が起きる神経変性疾患である。近年ではRGC死よりも前に、軸索終末や樹状突起の退縮が起こり、神経回路が切断されることが発症原因とも考えられている。従って、軸索と樹状突起を再生させ、神経回路を再構築すれば、一度低下した視機能が回復する可能性が推察される。本研究では視神経挫滅モデルを用いてTrkBシグナル増強による軸索および樹状突起の保護・再生のメカニズムを追求した。 TrkBシグナルの下流ではDOCK3分子が活性化することで、細胞骨格であるアクチンの重合が促進されて軸索再生を促進することが明らかとなっている。そこで、本研究では、DOCK3を活性化する小分子化合物を探索して、治療薬としての有効性を検討した。DOCK3はElmoと結合することにより、活性化レベルが増大することから、DOCk3-Elmoの結合を促進する化合物の検索を行った。46万化合物からスクリーニングを開始して、in vitroにおける培養細胞の神経突起伸長促進などを指標にして1分子まで絞り込んだ。さらに、この分子構造を基本骨格として、20種以上の新たな分子を合成し、さらなる神経突起伸長促進効果の増幅を目指した。新たに展開した合成分子をin vitroでスクリーニングして4化合物まで絞り込み、これらの分子がマウス視神経挫滅モデルにおいて神経保護および軸索再生を促進することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TrkB下流で機能するDOCK3活性剤の開発も順調に進み、TrkBシグナルによる軸索再生の分子機序が明らかになりつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
インスリン受容体などのTrkB分子以外の栄養因子受容体を活性化することで、網膜神経節細胞の保護、再生を誘導し、緑内障治療開発への新たな展開を探る。
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