研究課題/領域番号 |
23K06829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尾崎 智也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (40710588)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 軸索損傷 / コンドロイチン硫酸 / プロタミン / 脊髄損傷治療薬 / シナプス形成 / dystrophic endball形成 / 軸索損傷治療薬 / Dystrophic endball形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では(i)脊髄損傷など神経軸索の損傷に対する、糖鎖を標的とした治療薬候補を創出する。また(ii)損傷軸索が病態として見せる形態変化の生理学的役割についても洞察する。申請者は、プロタミンのdystrophic endball解消効果を見出しておりプロタミンから着想を得て新規ペプチドを合成し、脊髄損傷を治療できる薬剤候補化合物を創り出す。 また、軸索末端で起こるシナプス形成とdystrophic endball形成の共通点について吟味する。本研究は、コンドロイチン硫酸が誘導する損傷軸索病態の治療と理解に関する研究であり、学術、臨床的に重要な課題となる。
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研究実績の概要 |
本研究では(i)脊髄損傷など神経軸索の損傷に対する、糖鎖を標的とした治療薬候補をコンドロイチン硫酸(CS)を標的する視点で探索する。また(ii)損傷軸索が病態として見せる形態変化の生理学的役割についても洞察する。申請者は、損傷軸索の病態であるdystrophic endballについて研究する中で、既存薬プロタミンのdystrophic endball解消効果を見出し、動物実験で解析してきた(投稿準備中)。本研究では、プロタミンから着想を得て新規ペプチドを合成し、亜急性期から慢性期にある脊髄損傷を治療できる薬剤候補化合物を見出すことを目的とする。 また、軸索末端で起こるシナプス形成とdystrophic endball形成の共通点について吟味する。本研究の完成は、シナプスについての知を拡大し、dystrophic endballへの理解を深めることで損傷軸索に対する新規治療点の発見につながる。本研究はCSが誘導する損傷軸索病態の治療と理解に関する研究であり、学術、臨床的に重要な課題となる。 これまでに得られた実績としては、プロタミンがマウス脊髄損傷の亜急性期において治療効果を示すという結果が得られており、慎重に解析を進めてきた。この時プロタミンは静脈からの投与され全身性投与された。脊髄の損傷部位にプロタミンが本当に到達しているかは不明であり課題は残ったものの、結果をまとめ投稿準備中である。 健常な軸索が作るシナプスと損傷した軸索が作るdystrophic endballの共通点を探る調査では、まず形成されたシナプスにCSが存在するのか解析している。クリックケミストリーの生細胞に応用し、検出を試みており、クリックケミストリー由来の蛍光シグナルを初代培養した神経細胞が作ったシナプスで検出している。その結果は慎重に議論していく必要がある。注力したのは人工糖の神経細胞への導入条件の決定であり、これまでに、生細胞に有害所見を発生しない条件を決定し、実験および解析を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シナプスにおけるCSに局在について、クリックケミストリーを用いて検出を試みており、生細胞への人工糖を導入する条件の決定が第一のハードルと考えていた。初代培養した神経細胞に有害所見が発生しない導入条件の決定のため実験を重ねてきており、適した条件を見つけつつあるため。 また、プロタミンという既存薬が脊髄損傷マウスの亜急性期治療に有効であることを確認でき、得られたデータをもとに論文にまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄損傷の治療薬については、プロタミンの亜急性期での治療効果についてまとめている。クリックケミストリーの結果の蛍光シグナルについては、顕微鏡での撮影および解析を進めている。蛍光シグナルは検出されるが、それが本当にCSなのかは今後の課題である。 今後は、抗体染色と組み合わせて伸長に解析していく。dystrophic endball形成とシナプス形成の類似点については、シナプスを形成する直前の軸索を探し、そこでのdystrophic endballマーカーの分布を観察する。
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