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女性ホルモンが手根管症候群に及ぼす影響と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06833
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分51030:病態神経科学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

市原 理司  順天堂大学, 医学部, 准教授 (40599247)

研究分担者 林 礼人  順天堂大学, 医学部, 客員教授 (10365645)
山本 康弘  順天堂大学, 医学部, 助教 (40972732)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード女性ホルモン / 手根管症候群 / 神経保護 / 遺伝子改変マウス / 人工神経
研究開始時の研究の概要

本研究では、更年期女性に発生する手根管症候群の原因の一つに、手根管内圧の上昇による機械的な圧迫の他に、血中エストロゲン値の急激な低下による正中神経への直接的障害が存在することを解明し、新たな治療法の可能性を探ることを目的とする。
この研究により、神経損傷部の被覆や女性ホルモン様物質の補充により、損傷された神経に直接作用し、神経の保護・修復を促し、手根管症候群発症の抑制や治癒を促進できるかを検証する。

研究実績の概要

今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を主目的に研究を行った。
神経被覆モデルの作成:遺伝子改変型マウス(Thy1-YFP16)を用いて坐骨神経を顕微鏡下に露出させた後に、メスで鋭利切断し神経の連続性を失わせた後に、顕微鏡下で10-0ナイロン3針にて神経上膜縫合を行った。今後は神経被覆材として新規コラーゲン製神経被覆材を用いて損傷部の神経保護を行うことで、軸索発芽の抑制効果および疼痛改善効果が得られるかを検証していく予定である。
卵巣摘出モデルの確立:胎生6週の雌性ラットで卵巣摘出群(OVX群)と無処置群(Sham群)に分け実験を行った。各々の群に処置直後よりイソフラボンフリー食を給餌した。坐骨神経に絞扼処置を2週間施行した後、 絞扼を解除し、 解除後3、7、14日時点での評価を行った。 検討項目として1) Von Frey filament testにおける損傷肢の疼痛逃避反応、 2)絞扼部位における組織形態学的評価、 免疫染色による神経再生評価を行った。組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向があり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。 また、Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていることが示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を主目的に研究を行った。
神経被覆モデルの作成として遺伝子改変型マウス(Thy1-YFP16)を鋭利切断した後に顕微鏡下で10-0ナイロン3針にて神経上膜縫合を行うモデルを確立した。また、卵巣摘出モデルとして胎生6週の雌性ラットで卵巣摘出群(OVX群)と無処置群(Sham群)に分け実験を行い坐骨神経に絞扼処置を2週間施行した後、絞扼を解除し、解除後3、7、14日時点での評価を行った。 既に組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向があり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。また、Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていることが示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆されており研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今年度は2つの実験モデルの作成を行いモデルの確立を行った。
神経被覆モデルの作成が完了したため、今後は神経被覆材として新規コラーゲン製神経被覆材を用いて損傷部の神経保護を行うことで、軸索発芽の抑制効果および疼痛改善効果が得られるかを検証していく予定である。また卵巣摘出モデルを確立し組織形態学的評価において、OVX群がSham群に対して絞扼部遠位での神経変性の程度が強い傾向にあり、Von Frey filament testではOVX群がSham群に比較して絞扼解除後の回復が遷延する印象であった。また、 Sham群ではOVX群に比較して神経損傷部におけるマクロファージの遺伝子発現が強い傾向にあった。免疫染色による評価でも同様に、OVX群に比較して、Sham群で神経再生が劣っていると示された。本年の研究でOVX群では神経損傷部の修復を阻害することが示された。閉経によるエストロゲンの低下が慢性神経絞扼損傷による絞扼解除後の回復に影響を及ぼす可能性が示唆された。今後は損傷部近傍での遺伝子解析を行い神経成長因子としてどの因子が影響しているかを網羅的に解析していく予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (25件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 2件、 招待講演 9件)

  • [雑誌論文] Potential of an artificial nerve graft containing Schwann cells for the treatment of a 20-mm nerve defect in rats2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Masao、Ichihara Satoshi、Hayashi Ayato、Yamamoto Yasuhiro、Otani Satoshi、Ishii Sayaka、Hara Akira、Maruyama Yuichiro、Ishijima Muneaki
    • 雑誌名

      Journal of Neurosurgery

      巻: 139 号: 6 ページ: 1542-1551

    • DOI

      10.3171/2023.3.jns222419

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 手根管症候群に対するOpenでの手根管開放術:絞扼性神経障害の手術治療2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 雑誌名

      Surgical Technique

      巻: 13(6) ページ: 20-23

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 切創・刺創による神経損傷の初療2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 雑誌名

      手救急

      巻: 1 ページ: 234-240

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 上肢に使用できる伝達麻酔法2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅生、市原理司
    • 雑誌名

      手救急

      巻: 1 ページ: 174-181

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Potential of an Artificial Nerve Graft Containing Schwann Cells for the Treatment of a 20-mm Nerve Defect in Rats2023

    • 著者名/発表者名
      Masao Suzuki, Satoshi Ichihara
    • 学会等名
      AAHS 2023, MIAMI, FL
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Treatment of proximal and distal cervical spondylotic amyotrophy with nerve transfers.2023

    • 著者名/発表者名
      Akira Hara, Satoshi Ichihara
    • 学会等名
      13th APFSSH, Singapore
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] シュワン細胞充填型人工神経の長期成績について2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅生, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第66回日本手外科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Modified Masquelet法を用いたテフロン膜被覆型人工神経~神経再生への新たな展望~2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅生, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第50会日本マイクロサージェリー学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シュワン細胞を充填した人工神経の細胞挙動.2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅生, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第38回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺伝子改変マウスを用いた人工神経のNerve connectorとしての有効性に関する検討.2023

    • 著者名/発表者名
      大谷 慧, 市原理司, 石島旨章
    • 学会等名
      第38回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺伝子改変マウスを用いた人工神経のNerve connectorとしての有効性に関する検討.2023

    • 著者名/発表者名
      大谷慧, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第34回日本末梢神経学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 遺伝子改変マウスを用いた人工神経のNerve connectorとしての有効性に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      大谷慧, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第66回日本手外科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Modified Masquelet法を用いたテフロン膜被覆型人工神経神経再生への新たな展望2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅生, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第34回日本末梢神経学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 齧歯類更年期モデルにおける末梢神経慢性絞扼損傷による変化2023

    • 著者名/発表者名
      石井紗矢佳, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第66回日本手外科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラット閉経モデルにおける末梢神経絞扼損傷後の変化2023

    • 著者名/発表者名
      石井紗矢佳, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第34回日本末梢神経学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラット閉経モデルにおける末梢神経絞扼損傷後の変化2023

    • 著者名/発表者名
      石井紗矢佳, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      第38回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 手外科領域におけるエクオールの可能性 ~手のしびれ、年齢のせいにしていませんか?2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      第36回日本臨床整形外科学会 ランチョンセミナー16
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「手外科医としてできること」2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      北陸手外科 Hybrid Seminar 特別講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヘルシーエイジングの観点から見た手指変形性関節症の疼痛管理-手外科領域の最新の知見を踏まえて-2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      第22回 『城東ロコモティブシンドローム懇話会』特別講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「上肢外傷分野発展のためにしてきた3つのこと」-自らのアイデアを具現化するためにすべきこと-2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      第29回日本最小侵襲整形外科学会教育研修講演1
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] テノゲカのブレークスルーを探し続けた20年~臨床・研究・開発・啓蒙~2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      第133回近畿手外科研究会教育研修講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Short gap再建における神経再生誘導チューブの有効性2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司 大谷慧
    • 学会等名
      第50回日本マイクロサージャリー学会学術集会 ランチョンセミナー7
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工神経の多様性の検証. シンポジウム:これからの人工神経2023

    • 著者名/発表者名
      市原理司
    • 学会等名
      第34回日本末梢神経学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工神経はNerve connectorとして有用か?2023

    • 著者名/発表者名
      大谷慧、市原理司.
    • 学会等名
      第66回日本手外科学回学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 末梢神経損、断裂における治療戦略2023

    • 著者名/発表者名
      大谷慧, 市原理司, 石島旨章.
    • 学会等名
      外傷整形外科webシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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