研究課題/領域番号 |
23K06835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
藤内 玄規 愛知医科大学, ALS治療研究開発部門, 助教 (00748353)
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研究分担者 |
祖父江 元 愛知医科大学, 愛知医科大学, 学長 (20148315)
岡田 洋平 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 教授 (30383714)
熱田 直樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90547457)
中村 亮一 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80723030)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 運動ニューロン / iPS細胞 / タンパク質品質管理機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、運動ニューロン疾患における老化に伴うタンパク質品質管理機構に関わる分子の発現変化と病態への関与を、ALS患者の大規模遺伝子解析で変異やリスクが判明した分子を中心に解析する。ALS患者iPS細胞由来運動ニューロンの突起伸長や凝集体蓄積、遺伝子発現などをリアルタイムで継時的に解析することで凝集体形成過程と変性を解析し、そこに作用する遺伝子・分子を同定することで、ALSの病態に関わる分子を解明する。また老化に関わる分子、タンパク質品質管理機構を標的にした治療薬剤候補の検討も行い、ALSにおける老化がもたらす神経細胞の機能異常・細胞死のメカニズム解明と治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、運動ニューロン疾患における加齢、老化に伴うタンパク質品質管理機構に関わる分子の発現変化と病態への関与を、ALS患者大規模遺伝子解析から抽出したリスク遺伝子の統合解析により見出した治療標的分子を中心に解析する。我々はこれまでに多施設共同ALS患者前向きコホートであるJaCALSで収集された不死化リンパ球から孤発性ALS患者由来iPS細胞(iPSC)を樹立しており、さらに運動ニューロン(MNs)に分化することでALSの病態モデル、薬効評価モデルとして使用している。ALS患者iPS細胞由来運動ニューロンの突起伸長や凝集体蓄積、遺伝子発現などをリアルタイムで経時的に解析することで凝集体形成過程と変性を解析し、そこに作用する遺伝子・分子を同定することで、ALSの病態に関わる分子を解明する。また老化に関わる分子、タンパク質品質管理機構を標的にした治療薬剤候補の検討も行い、ALSにおける老化がもたらす神経細胞の機能異常・細胞死のメカニズムの解明と治療法の開発を目指す。本年度は治療標的分子に効果のある化合物のALS患者由来iPSC-MNsにおける影響を中心に解析し、神経突起の退縮抑制や細胞生存率の改善を見出した。また治療標的分子の患者と健常者間の発現差や経時的発現変化をiPSC-MNsの長期間培養で解析し治療標的分子のALSでの発現上昇を確認した。また候補化合物による治療標的分子の発現抑制も確認した。これらを踏まえて治療標的分子のノックダウン実験を検証するとともに治療標的分子に対するASOの設計を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はこれまでに多施設共同ALS患者前向きコホートであるJaCALSで収集された不死化リンパ球から孤発性ALS患者由来iPS細胞(iPSC)を樹立しており、さらに運動ニューロン(MNs)に分化することでALSの病態モデル、薬効評価モデルとして使用している。患者iPSC-MNsと健常者iPSC-MNsをHB9e438 ::Venusにより蛍光タンパク質で標識し神経突起伸長を経時的に測定したところ孤発性ALS患者由来iPSC-MNsでは健常者由来iPSC-MNsと比較して、神経突起の早期退縮や細胞生存率の減少など表現型の違いが生じることを確認した。またiPSC-MNsの病態進行と各患者の臨床像における進行速度との関連も認められた。さらにALS患者大規模遺伝子解析から抽出したリスク遺伝子と様々なデータベースとを統合解析し加齢、老化に関わる治療標的分子と治療候補化合物を複数見出した。これらの化合物を患者iPSC-MNsに添加し神経突起伸長を経時的に測定したところ一部の化合物で病態進行による突起伸長の退縮を抑制する効果が見られた。また一部の化合物の投与による細胞生存率の改善が見られた。治療効果が期待できる化合物をMNsに投与し早期、突起伸長期、成熟期、退縮期の複数の培養日数でRNAを抽出しRNA-Seqにより作用機序やMNsの加齢、老化への影響を解析中である。 治療標的分子については患者由来iPSC-MNsと健常者由来iPSC-MNsの長期間培養による発現解析を行いALSにおける発現変化、時間による発現変化を確認中である。またesiRNAを用いたノックダウン実験を行いその影響を解析している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本年度に引き続き患者iPSC-MNs を経時的に解析する。TDP-43やFUS、ChATの免疫染色で変異タンパク質の凝集や細胞の成熟度を測り、細胞生存率や細胞毒性はLDH assayとCCK-8 assayで、ミトコンドリア機能はMitotrackerで測定する。これらのパラメーターを用いて病態の進行と治療候補化合物の効果を検証する。また早期、突起伸長期、成熟期、退縮期の複数の培養日数での経時的なRNA-Seq解析により加齢の影響や治療候補化合物による遺伝子の発現変化を同定する。 治療標的分子についての検証は患者由来iPSC-MNsのesiRNAを用いたノックダウン実験を進めるとともに現在設計中のASOを用いた実験も進める予定である。
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