研究課題/領域番号 |
23K06836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | セントラル硝子株式会社(New-STEP研究所 事業開発グループ 湘南リサーチセンター) |
研究代表者 |
小澤 大作 セントラル硝子株式会社(New-STEP研究所 事業開発グループ 湘南リサーチセンター), 湘南リサーチセンター, 研究員 (60554524)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 液-液相分離 / 神経変性疾患 / アミロイド / ミスフォールディング / 液滴 / 液液相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、神経変性疾患における蛋白質の異常凝集の足場として近年注目されている液‐液相分離に注目する。本研究では、特に液‐液相分離過程で生じる蛋白質の過渡的な構造変化・状態変化を解析することにより、異常凝集体形成過程を解明し、過渡的に形成される生理的な液滴形成には影響を与えずに、その制御破綻による病的なアミロイド線維状凝集体への異常転移のみを標的とした治療薬候補分子の同定を目指す。具体的には、①液‐液相分離による蛋白質の生理的な液滴形成の解析、②液滴状態を介した病的なアミロイド線維状凝集体への異常転移の解析、③治療薬候補分子の同定を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、液-液相分離を介した蛋白質の異常凝集体形成過程を包括的に理解し制御することが、真の治療薬開発には必要であると考えている。特に、液-液相分離過程で生じる蛋白質の過渡的な構造変化・状態変化を解析することにより、異常凝集体形成過程を解明し、過渡的に形成される生理的な液滴形成には影響を与えずに、その制御破綻による病的なアミロイド線維状凝集体への異常転移のみを標的とした治療薬候補分子の同定を目指す。具体的には、①液-液相分離による蛋白質の生理的な液滴形成の解析、②液滴状態を介した病的なアミロイド線維状凝集体への異常転移の解析、③治療薬候補分子の同定を行う。本研究で得られる新知見は、生理的にも病的にも重要な液-液相分離現象の解析とその制御を目指すものであり、学術的波及効果は大きいと考えられる。 令和5年度は、まず初めに、治療薬候補分子の同定を目指すための液-液相分離とそれを介した凝集体形成の評価系の構築を目指した。本研究では、TDP-43蛋白質の凝集性の高さを緩和するために、C末端側にマルトース結合蛋白質(MBP)を融合したTDP-43-MBP融合蛋白質を用いて評価系構築を行った。濁度測定の結果から、TDP-43-MBP溶液は、蛋白質濃度依存的かつデキストラン濃度依存的に濁度が上昇し、液-液相分離による液滴の形成が示唆された。実際、明視野顕微鏡観察から液滴様の集合体が観察され、液滴同士の融合も観察された。したがって、液-液相分離により液滴が形成したと考えられる。形成した液滴にTEVプロテアーゼを添加しMBPを切断すると、線維状の凝集体が電子顕微鏡観察から確認された。これらの溶液条件を基に、今後、治療薬候補分子の同定を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属先の異動に伴い、TDP-43やα-シヌクレインなどの神経変性疾患原因蛋白質の大腸菌による発現・精製系の構築を1から進めることとなり、また、液-液相分離の評価系の構築も同時に進めることとなったものの、TDP-43の液-液相分離とそれを介した凝集体形成の評価系の構築は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、パーキンソン病の原因蛋白質であるα-シヌクレインについても同様に、液-液相分離とそれを介した凝集体形成の評価系の構築を進める。さらに、TDP-43およびα-シヌクレイン蛋白質の96ウェルプレートを用いたハイスループットアッセイ系やCD測定による液滴内の蛋白質の異常構造変化測定を駆使し、過渡的に形成される生理的な液滴形成には影響を与えずに、その制御破綻による病的なアミロイド線維状凝集体への異常転移のみに作用する低分子化合物を同定する。
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