研究課題/領域番号 |
23K06867
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
千代 大翔 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50769346)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 小腸癌 / microRNA / 小腸腫瘍 / 小腸腺腫 |
研究開始時の研究の概要 |
小腸がんは、進行するまで症状が出ず、診断には小腸カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡といった高い費用とリスクを伴った検査が必要です。そのため、早期発見が難しく、予後が悪い病気です。microRNAは、病気やがんの早期発見に役立つとされていますが、小腸がんに関してはまだ分かっていません。この研究では、小腸がんを早期から見つけるmicroRNAを探し、がんの成長や広がりに関わるmicroRNAも同定します。さらに、早期小腸がんに関連する細胞死、血管の新生、シグナル伝達に関与する分子を調べ、microRNAの働きや診断・治療への応用可能性を探ります。
|
研究実績の概要 |
小腸癌は稀な疾患であり、消化管腫瘍全体の約3%を占め、全癌の約0.5%を占める。小腸癌はその稀少性と症状や徴候が非特異的であることからしばしば早期の診断は困難である。通常の内視鏡での小腸観察は困難であり、深部小腸の精査には高価なカプセル内視鏡検査や負担の大きいダブルバルーン内視鏡を必要とする現状がある。そのため、診断時ステージがIII期26%、IV期32%と進行した段階になるまで診断されず、更にはIII期およびIV期の5年疾患特異的生存率はそれぞれ35%、4%と予後不良の疾患の一つと考えられている(Cancer. 1999 ;86, 2693-706)。そこで小腸癌に対する新たな診断・治療アプローチが必要である。例えば簡便かつ有用な早期診断が可能な診断マーカー、予後や抗癌剤への反応性を予測するマーカー、抗腫瘍効果をもつ分子の開発である。現在小腸腺腫・早期小腸癌におけるmiRNAの報告は皆無であり、miR-650を始めとするこれらmiRNAが腫瘍の増殖・浸潤に関する重要な役割を果たしていることが推測され、この関連が解明されれば新規性のある報告となる。今回7人の内視鏡切除された十二指腸腺腫・早期腺癌の腫瘍部と非腫瘍部より組織採取をおこない、組織中のmiRNAの抽出を行った。その関連するmiRNAについてアレイチップを用いて網羅的に解析したところ、異なったクラスターを形成することを確認した。腫瘍部で14分子(優位順にmiR-203a-3p,miR-135b-5p)の有意な増加、14分子(優位順にmiR-650,miR-7-5p)の有意な減少を検出した。これらmiRNAが小腸腫瘍の増殖、進展に関与している可能性があり、またバイオマーカーとしてのポテンシャルを持っていると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ESD検体からのmiRNAの抽出は順調であり、その後のアレイ解析からも有意なデータが検出されている。
|
今後の研究の推進方策 |
小腸腺腫・早期小腸癌に特異的なmiRNAの細胞増殖・浸潤などその機能について、小腸癌細胞株を用いて検討する。小腸癌細胞株(HuTu80等)について複数の候補となるmiRNAの発現をreal-time PCRで確認する。複数の候補となるmiRNAについて、miRNA mimicを小腸癌株に付加し、これらのmiRNAの癌増/抑制殖効果について検討する。引き続いて細胞内情報伝達に関わる蛋白やmiRNA inhibitorで阻害することでそのパスウェイを抑制できるかを検討する。
|