研究課題/領域番号 |
23K06872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
南 正明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70418739)
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研究分担者 |
牧野 利明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80326561)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 補中益気湯 / 漢方薬 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで抗菌剤治療の困難なバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に対する漢方薬・補中益気湯の除菌効果は、補中益気湯による宿主の免疫賦活活性作用によると考えられてきた。一方、予備実験の結果、補中益気湯がVREの保有する薬剤耐性遺伝子の脱落に直接的に関与している可能性が考えられた。そこで、補中益気湯によるVREの耐性遺伝子の脱落変化を、細菌側と宿主側の両面から検討することで、補中益気湯による耐性遺伝子の脱落機序の解明をめざす。この研究は、従来の抗菌剤が持つ直接的な細菌に対する除菌効果とは異なった、難治性の薬剤耐性菌感染症に対する、漢方薬を用いた新規治療法の提案を目的とする。
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研究実績の概要 |
これまで抗菌剤治療の困難なバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に対する漢方薬・補中益気湯の除菌効果は、補中益気湯による宿主の免疫賦活活性作用によると考えられてきたが、補中益気湯がVREの保有する薬剤耐性遺伝子の脱落への関与の可能性があり、その確認の研究を先ず行った。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)をブレインハートインフュージョン(BHI)液体培地で培養した後、補中益気湯エキス(HET)を添加したBHI寒天培地に塗布して培養した。ポジティブコントロールとして臭化エチジウムを使用した。培養2週間後に細菌を回収し、細菌のVCMに対する薬剤感受性をdisk diffusion法で評価した。また、細菌からプラスミドを抽出して、vanA遺伝子保有をPCRで確認した。薬剤感受性法によるVCMに対する耐性から感受性への変化、並びに遺伝子検出法によるvanA遺伝子検出の陰性化により、薬剤耐性遺伝子の脱落と評価した。その結果、寒天培地上でVCMによる阻止円が認められなかった無処理に対して、2週間のHET処理または臭化エチジウム処理で阻止円が認められ、薬剤感受性が回復した。さらに、無処理ではvanA遺伝子の発現が認められたのに対して、2週間のHET処理ではvanA遺伝子が欠損していた。以上の結果を当研究室で保存してあるVRE株でも再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定では、補中益気湯による耐性遺伝子脱落に伴うVREの遺伝子レベルとタンパク質レベルでの変化の検討として、補中益気湯によるVREの染色体とプラスミドの遺伝子の全塩基配列の変化や補中益気湯によるVREの全遺伝子発現レベルの変化も実施する予定だったが、予定通り現状では進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
補中益気湯による耐性遺伝子脱落に伴うVREの遺伝子レベルとタンパク質レベルでの変化の検討として、補中益気湯によるVREの染色体とプラスミドの遺伝子の全塩基配列の変化や補中益気湯によるVREの全遺伝子発現レベルの変化、医療用漢方エキス製剤147種類のVRE遺伝子脱落に関する探索、補中益気湯によるマウス腸管内VRE感染実験の除菌効果の検討を実施していく予定である。
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