研究課題/領域番号 |
23K06898
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (80572966)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | シトクロムP450 / 非競合型ELISA / ファージ提示 / バイオマーカー / 人工酵素 / タンパク質工学 / 臨床化学 / 分析化学 |
研究開始時の研究の概要 |
イムノクロマト法に代表されるサンドイッチ型の免疫測定法は、2種類の抗体を用いることで感度・特異性に優れ、簡便で多検体の同時処理が可能なため医療機関での迅速な診断に有用である。一方、疾患に関連するバイオマーカーの多くは低分子化合物(ハプテン)であり、その分子サイズゆえサンドイッチ法への適用は困難である。本研究では、シトクロムP450(CYP)の基質結合部位に変異を導入した種々のCYPライブラリーを調製し、ファージ提示により機能改変した変異型CYPの獲得を試みる。変異CYPを新規な分子認識素子とするハプテンのセミサンドイッチ系を構築し、高感度で網羅的な低分子バイオマーカー検出法の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
生体内でごく微量存在するバイオマーカーの多くは低分子化合物であり、その微量定量には免疫測定法が用いられる。免疫測定法は競合型と非競合型に大別される。イムノクロマト法に代表される非競合型のサンドイッチ法は、2種類の抗体を用いることで感度や特異性に優れ、簡便で他検体の同時処理が可能なため様々な分野で利用される。しかし、低分子化合物は、分子サイズが小さく本法への適応が原理的に困難であり、競合型での測定に依存しており、感度に限界がある。そこで、薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)に着目し、低分子化合物-プロトポルフィリンIX(PP9)複合体を認識する変異型CYPを創製し、低分子化合物の定量が可能な新規な非競合型ELISA法の開発を試みている。 本年度は、PP9をマイクロプレートに間接的に固定化するために用いる2種の化合物としてPP9-BSA結合体およびビオチン標識PP9を合成した。また、人工CYPをスクリーニングする際に利用するファージ提示の条件検討を行い、CYPのファージ提示系を確立した。得られたPP9-BSA結合体を直接またはビオチン標識PP9をアビジンを介してマイクロプレートに固相化したのち、野生型CYP3A4またはCYPBM3提示ファージを用いて上述のELISAへの適応を試みた。標的としてプロゲステロン、ベラパミル塩酸、p-ニトロフェノールを基質として加えた場合、用量依存的なシグナルの増大が認められ、これら低分子化合物の非競合型ELISAを構築した。しかし、想定したとおり野生型CYPを用いた場合、実用的な感度や特異性が不十分であり、CYPの基質結合部位へ変異を導入することで機能改変を目指していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で確立する人工CYPを用いた新規な非競合型ELISAの成立に不可欠なPP9-BSAおよびビオチン標識PP9の合成に早期に成功した。また、野生型CYPのタンパク質発現条件やCYPのファージ提示法を確立したことで、ライブラリーから人工CYPのスクリーニングが可能な準備も整っている。さらにファージ提示したCYPを用いた非競合型ELISAのモデル系の確立にも成功しており、次年度以降でアッセイ系の高感度化の段階に進める見通しである。
|
今後の研究の推進方策 |
変異を導入した人工CYPの創製に取り組み、非競合型ELISAの感度や特異性の向上を図る。具体的には標的としているCYP3A4やCYPBM3の基質結合部位にランダム変異を施し、ファージ提示法を利用したスクリーニングを実施する。得られた変異体のアミノ酸置換を解析し、標的化合物とのドッキングシミュレーションなどにより基質結合能を向上させる。機能改変した人工CYPについて発光タンパク質などとの融合タンパク質を調製し、ELISAの高感度化を目指す予定である。
|