研究課題/領域番号 |
23K06899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
原田 結花 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 臨床試験科, 部長 (50379848)
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研究分担者 |
原田 浩徳 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10314775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / 骨髄不全症 / ミトコンドリア断片化 / スプライシング異常 / ミトコンドリアダイナミックス異常 / 診断法 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄系腫瘍を病初期に正しく診断することは、治療成績の向上のために非常に重要である。造血器腫瘍遺伝子パネル検査の実装化を間近に控えているが、実際にクリニカルシーケンスを行うと、遺伝子変異は多様な病型で共通しており、また変異が検出されない場合も多く、遺伝子変異だけで鑑別診断を行うことは決して容易ではない。そこで本研究では、診断・治療選択に直結する新たな検査法の確立を目指し、「ミトコンドリア断片化検出」および「スプライシング異常解析」を実施する。本研究計画により、これまで客観的な診断法が確立されていなかった骨髄異形成症候群の正確な診断と適切な治療選択や予後予測が可能となる。
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研究実績の概要 |
病初期の骨髄系腫瘍の正確な診断は、治療成績の向上に重要である。遺伝子パネル検査は実装間近であるが、変異は多様な病型で共通しており、また変異のない例も多く、これだけで鑑別診断は困難である。本研究では、診断・治療選択に直結する新たな検査法の確立を目指し、「ミトコンドリア断片化検出」および「スプライシング異常解析」を実施する。これまで客観的な診断法が確立されていなかった骨髄異形成症候群の正確な診断と適切な治療選択や予後予測を可能にする。 本研究では、従来の血液学的検査や骨髄系遺伝子パネル検査に加え、ミトコンドリア断片化やスプライシング異常検出といった新たな手法を用い、MDSと良性の骨髄不全症とを鑑別する高精度の診断法を確立することを目的とする。加えて、AI学習を用いてこれらのパラメーターと臨床情報との統合・解析を行うことによって、MDS特異的かつ客観的な診断法・リスク分類・予後予測モデルを提唱する。高精度の診断法によって、適切な治療法選択が可能となる次世代の骨髄不全症診断法の確立を目指すものである。 本年度は、ミトコンドリア断片化をMDSの臨床診断に応用するため、診断法としての有用性を検討した。芽球増加のないMDS群と非MDS血球減少群でミトコンドリア断片化率を比較したところ、カットオフ値32.26%で陽性と陰性に分けることでMDSと非MDSを鑑別することが可能であった。また、ミトコンドリア断片化率による診断の正確性は82.35%と、各血球系の異形成と同等以上であった。これを検査法として確立するために、AIを用いた自動判定システムを構築し、さらに精度を上げる工夫を行っている。またこの検査法をMDS診断に応用すると、これまでMDSの診断基準に達していなかったクローン性造血の一部がMDSと診断できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリア断片化率解析症例数は累計で200件を超えた。AI判定のための撮影画像数を増やし、さらに精度を上げる試みを行っている。また、分画細胞のRNAシーケンスも症例数を積み重ねており、解析が順調に進んでいる。これら全症例の遺伝子変異パネル検査は実施済みである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きミトコンドリア断片化率の解析症例を積み重ね、データを強固にしていく。RNAシーケンスデータ解析を進め、MDSに特徴的な遺伝子発現・スプライシングパターンを検出する。MDSの鑑別診断に有用なマーカーを模索する。
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