研究課題/領域番号 |
23K06928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮崎 育子 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (40335633)
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研究分担者 |
浅沼 幹人 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00273970)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | パーキンソン病 / αシヌクレイン / ドパミン神経 / グリア細胞 / アストロサイト / 神経科学 / 脳神経疾患 / 脳・神経 |
研究開始時の研究の概要 |
孤発性パーキンソン病(PD)におけるLewy小体を伴う神経障害機構は未だ解明されていない.現在,αシヌクレイン(αSyn)のプリオン様伝播仮説が注目されている.本研究では,中枢のみならず末梢腸管神経系におけるグリア細胞の細胞内・外でのαSynの凝集抑制・分解機構を解析するとともに,その処理機能の破綻による神経細胞への凝集αSynの伝播・蓄積および神経障害について検討する.これにより,PDにおける中枢および末梢神経系のαSyn病態形成機序の解明を目指す.本研究結果は,グリアの蛋白凝集抑制・分解処理機構を標的とした全く新しい神経保護方策の開発に寄与しうる.
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研究実績の概要 |
線維化αシヌクレイン(αSyn preformed fibril, PFF)によるドパミン神経障害へのグリア細胞の関与について検討した.妊娠15日齢のSDラット胎仔中脳を用いて,中脳神経細胞単独培養,中脳神経細胞+グリア細胞(アストロサイト+ミクログリア)共培養を作製し,αSyn PFFを72時間添加し,チロシン水酸化酵素(TH)陽性ドパミン神経細胞数を計測した.また,中脳神経細胞単独培養にαSyn PFFとともにグリア培養上清あるいはアストロサイト培養上清を添加し,ドパミン神経細胞数を計測した.ドパミン神経細胞内のαSyn凝集体形成を抗リン酸化αSyn抗体を用いた免疫染色により検討した. 神経細胞単独培養にαSyn PFFを添加するとTH陽性ドパミン神経細胞数が低下し,神経細胞内におけるリン酸化αSyn陽性シグナルが増加した.一方,中脳神経細胞+グリア共培養では,αSyn PFFによるドパミン神経毒性および神経細胞内でのリン酸化αSyn陽性シグナルの増加はみられなかった.また,グリア細胞におけるαSyn凝集体を免疫染色により検討した結果,アストロサイトにおいて凝集αSynの蓄積がみられたが,ミクログリアではほとんどみられなかった.さらに,グリア細胞あるいはアストロサイトの培養上清をαSyn PFFとともに神経細胞に添加したところ,αSyn PFFによるドパミン神経毒性がみられなかった. 以上の結果より,グリア細胞の中でもとくにアストロサイトは細胞外の線維化αSynを取り込むだけではなく,何らかの分子を細胞外に分泌することでドパミン神経細胞におけるαSyn凝集体形成および神経障害を抑制することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線維化αSynによるドパミン神経障害へのグリア細胞の関与について検討し,グリア細胞の中でもとくにアストロサイトが細胞外の線維化αSynを細胞内に取り込むだけではなく,何らかの分子を細胞外に分泌することでドパミン神経細胞におけるαSyn凝集体形成および神経障害を抑制するという結果が得られた.これらの結果を踏まえ,次年度はアストロサイトの細胞内におけるαSyn凝集体分解機構の解明およびアストロサイトが細胞外に分泌するαSyn神経毒性抑制分子の同定,さらに腸管神経系におけるαSyn腸管神経毒性への腸管グリア細胞の関与に関する検討に発展させることができる.
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今後の研究の推進方策 |
グリア細胞のαSyn凝集抑制・分解機構を解析する.ミクログリアと共培養したアストロサイトあるいはアストロサイト単独培養に線維化αSynを添加し,アストロサイトの細胞内および培養液中の蛋白凝集抑制・分解関連分子 (LC3II, p62, 14-3-3 protein, DJ-1, proteasome, ubiquitin, MT)の発現変化を解析する.また,腸管神経系におけるαSyn神経毒性へのグリア細胞の関与について検討する.腸管神経単独培養あるいは腸管神経+腸管グリア共培養に線維化αSynを添加し,腸管神経におけるαSyn凝集体形成および神経毒性,腸管グリア細胞による線維化αSynの貪食および蛋白凝集抑制・分解関連分子 (LC3II, p62, 14-3-3 protein, DJ-1, proteasome, ubiquitin, MT)の発現変化について検討する.
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