研究課題/領域番号 |
23K06937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
三嶋 崇靖 福岡大学, 医学部, 准教授 (00600602)
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研究分担者 |
河田 純一 福岡大学, 医学部, 助教 (00312207)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Perry病 / Perry症候群 / DCTN1 / TDP-43 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
Perry病(Perry症候群)はパーキンソニズム、うつ、アパシー、体重減少、中枢性呼吸障害を来たす常染色体顕性遺伝の神経変性疾患である。2009年にdynactin1 (DCTN1)遺伝子変異が疾患原因として特定された。病理学的には、黒質における神経細胞死及びTAR DNA-binding protein 43(TDP-43)とdynactinの凝集体が特徴である。申請者は、Perry病モデルとして、トランスジェニックマウスやノックインヘテロ接合体マウスを作製したが、モデルマウスとしての有用性は十分ではなかった。今回、ホモ接合体マウスを作出し、Perry病モデルマウスの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
Perry病(Perry症候群)はパーキンソニズム、うつ、アパシー、体重減少、中枢性呼吸障害を来たす常染色体顕性(優性)遺伝の神経変性疾患である。2009年に、申請者グループとMayo Clinicとの共同研究で、dynactin1 (DCTN1)遺伝子変異が疾患原因として特定された。病理学的には、黒質における神経細胞死及びTAR DNA-binding protein 43(TDP-43)とdynactinの凝集体を特徴とし、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等と同様に、TDP-43プロテイノパチーに分類される。我々は、典型的なPerry病の表現型を呈するp.G71A変異に着目し、モデルマウスの確立を目指してきた。トランスジェニックマウスとノックインヘテロ接合体マウスを作製したが、モデルマウスとしての有用性は十分ではなかった。 今回、p.G71A変異ノックインヘテロ接合体マウスからホモ接合体マウスの作出に成功し、脳の形態変化に加え、振戦、歩行障害等を確認した。今後、Open-field testやTail suspension test、Beam walking test、Pole test、Rota-rod test、Traction meter等で評価し、体重は経時的変化(体重減少の有無)を観察する。また、病理学的解析としては、神経細胞の形態を可視化し、TH染色などを行い、野生型マウスと比較を行う予定である。 また、今年度は、Perry病のレビューを英文誌に報告し(Mishima T, et al. Biomedicines. 12:113, 2024)、我々のPerry病研究の軌跡を通じ、臨床医および基礎研究者との連携の重要性や希少疾患とコモンディジーズとの関連について述べた。 今回、作出に成功したp.G71A変異ホモ接合体マウスが、希少難治性疾患であるPerry病の発症機構の解明、更に創薬に向け、有用なプラットフォームとなると期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
p.G71A変異ノックインヘテロ接合体マウスからホモ接合体マウスの作出に成功したが、染色に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
行動解析としては、Open-field testやTail suspension test、Beam walking test、Pole test、Rota-rod test、Traction meter等で評価する。体重は経時的変化(体重減少の有無)を観察する。 病理学的解析としては、マウス脳の肉眼的、低倍率での観察に加え、ゴルジ染色により個々の神経細胞の形態を可視化する。既に、脳全体に渡り、形態と神経回路パターン異常を検出しており、より詳細で経時的な解析を実施中である。中脳黒質のTH染色と軸索投射について解析し、TDP-43及びdynactin凝集体の有無について脊髄、脳幹や大脳等で検討する。脳や脊髄の部位別のwestern blottingを行い、TDP-43、dynactinの発現を比較検討する。Perry病のパーキンソニズムやうつ、呼吸障害の責任病巣は、既に明らかになっているが(Tsuboi et al. Acta Neuropathol, 2008)、体重減少や睡眠障害の責任病巣は未解明である。責任病巣と予想される視床下部と周囲領域について神経細胞死の有無とオレキシン免疫染色等で評価する。
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