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神経生存とシナプス密度から捉えるレビー小体型認知症とアルツハイマー病の早期病態

研究課題

研究課題/領域番号 23K06943
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52020:神経内科学関連
研究機関独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部)

研究代表者

寺田 達弘  独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (80550178)

研究分担者 小尾 智一  独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10393117)
武内 智康  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20754188)
尾内 康臣  浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
松平 敬史  浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任研究員 (80743210)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードアルツハイマー病 / レビー小体型認知症 / PET / ミトコンドリア / シナプス機能 / レビー小体型認知症(DLB) / 神経炎症 / アルツハイマー病(AD)
研究開始時の研究の概要

DLBの主要病理はαシヌクレインで、病態にミトコンドリア障害や神経炎症、シナプス密度低下が関与している。シナプス機能にはαシヌクレインや神経生存に重要なミトコンドリアが関わるが、DLB生体脳における関連は不明である。アミロイドを主要病理とするADでもシナプス密度が低下するが、DLBとの差異の検討は少ない。シナプス密度を可視化する[11C]UCB-Jとミトコンドリア活性を評価する[18F]BCPP-EFを用いて、DLBとADにおけるシナプス密度低下の分布と程度をPETで評価し、神経生存(ミトコンドリア・神経炎症・脳萎縮・認知機能障害)との関連を比較検討し、病態解明を目指す。

研究実績の概要

超高齢化社会を迎えた本邦における認知症の増加は医学的・社会的に問題で、その対策は重要な課題である。レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー病(AD)は本邦の三大認知症として特に多い認知症疾患である。DLBと上位のADの鑑別的病態解明と治療法確立は重要な課題である。DLBの主要病理はαシヌクレインで、病態進展にミトコンドリア障害や神経炎症の出現やAD病理、さらにシナプス密度低下が関与しているとされる。シナプス機能にはαシヌクレインや神経生存に重要なミトコンドリアが関わっているが、早期DLB生体脳における関連は不明である。アミロイドを主要病理とするADでも早期からシナプス密度が低下するが、DLBとの差異の検討は少ない。また、ADおよびDLBの病理進展には、神経炎症が関与していることが知られているが、神経炎症とミトコンドリア障害、シナプス機能との関連に関しても不明な点が多い。近年開発されたシナプス密度を可視化する[11C]UCB-Jとミトコンドリア活性を評価する[18F]BCPP-EFを用いて、DLBとADにおけるシナプス密度低下を評価するとともに、[11C]DPA713を用いて活性化ミクログリアの分布・程度をポジトロン断層法(PET)で評価する。同時に、ADおよびDLBにて重要な背景病理である、アミロイドとタウ病理をPETにて評価するとともに(PiB-PET、PMPBB3-PET)、髄液サイトカイン測定による神経炎症の評価、およびAPOEタイピングを行う。以上から、ミトコンドリア・シナプス機能・神経炎症・脳萎縮・アミロイドとタウ病理・APOE遺伝子多形・認知機能障害との関連を比較検討し、DLBとADのシナプス密度低下と神経生存との関わり、差異を包括的に明らかにし、病態解明と治療評価方法の確立を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

健常群の、[18F]BCPP-PET、[11C]UCBJ-PET、[11C]DPA713-PETの撮像は完了している。
次に、PETデータ解析に関しては、[18F]BCPPに関してstandardized uptake value ratio(SUVR)法を用いた結合能の推定方法は確立済みである。[11C]DPA-PETに関しては参照領域法を用いた、Binding Potential(BPND)の推定方法も確立済みである。これに伴い、統計画像解析ソフトstatistical parametric mapping(SPM)による統計画像解析と
region of interest(ROI法)による比較検討が可能となった。同時に、SPMソフトウェアを12を用いた解析方法(ボクセル設定、分割化、標準化、平滑化)を改変し、より高い精度で標準脳への変換を可能とする方法を見出した。具体的には、脳血流画像を反映するPET早期画像を用いて標準脳への変換パラメーターを作成する際、PET早期画像において、頭蓋外の信号を除去することで、その制度の向上を得ることができた。これにより、これまでよりも精度の高い統計画像解析が可能となった。施行者のバイアスがかかるという問題があったmanual ROI法から、標準脳上の脳回のROIを設定するauto-ROI法を導入しているが、今回、カナダのマギル大学との国際共同研究にて、灰白質と白質をより精密に区分分けすることに成功した。これにより、設定したROIにおいて、より正確に灰白質および白質の病変を見出せるようになった。
以上より、本研究の1年目の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

まずUCBJ-PETの解析方法の確立を行う。同時に1年目からひきつづき、症例のリクルートを行い、PET撮像、髄液測定、APOE測定、臨床データを獲得していく。
そして、ますは、これまで未解析であったアルツハイマー病(AD)において、BCPP-EF-PETを用いたミトコンドリア障害の分布と程度、DPA-713-PETを用いた活性化ミクログリアの評価による神経炎症の程度をPETにて画像化するとともに両者の相関関係を明らかにする。また、DLB症例にて、ミトコンドリア障害、神経炎症、タウやアミロイドなどの背景病理との関連をPETを用いて画像化し、それぞれのトレーサーとの相関関係を検討する。以上おり、ADとDLBのミトコンドリア、神経炎症、AD病理の差異について検討を行う。
研究成果は、神経学会学術大会、認知症学会、核医学学会にて英語にてポスター発表予定である。また、最終的には国際学会にてひろく検討結果を発表するとともに、英文雑誌に論文投稿をする予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] マギル大学(カナダ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Neuroinflammation following anti-parkinsonian drugs in early Parkinson’s disease: a longitudinal PET study2024

    • 著者名/発表者名
      Terada Tatsuhiro、Bunai Tomoyasu、Hashizume Takanori、Matsudaira Takashi、Yokokura Masamichi、Takashima Hirotsugu、Konishi Takashi、Obi Tomokazu、Ouchi Yasuomi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1 ページ: 4708-4708

    • DOI

      10.1038/s41598-024-55233-z

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] TSPO PET brain inflammation imaging: A transdiagnostic systematic review and meta-analysis of 156 case-control studies.2023

    • 著者名/発表者名
      De Picker LJ, Morrens M, Branchi I, Haarman BCM, Terada T, Kang MS, Boche D, Tremblay ME, Leroy C, Bottlaender M, Ottoy J.
    • 雑誌名

      Brain Behav Immun.

      巻: 113 ページ: 415-431

    • DOI

      10.1016/j.bbi.2023.07.023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Mitochondrial dysfunction underlies neurodegeneration in Alzheimer’s disease: A PET study2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiro TERADA, Joseph Therriault, Takashi Matsudaira, Tomoyasu Bunai,Tomokazu Obi, Hideo Tsukada, Pedro Rosa-Neto, Yasuomi Ouchi.
    • 学会等名
      The 20th Kyungpook-Hamamatsu Joint Medical Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Mitochondrial dysfunction underlies neurodegeneration in Alzheimer’s disease: A PET study2023

    • 著者名/発表者名
      T TERADA, J Therriault, T Matsudaira, T Bunai, H Takashima, N Kawaguchi, T Obi, H Tsukada, Pedro Rosa-Neto, Y Ouchi
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Mitochondrial dysfunction is associated with cognitive decline in Alzheimer’s disease2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘、Joseph Therriault、:松平敬史、:武内智康、高嶋浩嗣、小渡貴司、川口典彦、荒木保清、小尾智一、塚田秀夫、Pedro Rosa-Neto、尾内康臣
    • 学会等名
      第64回日本神経学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] パーキンソン病の前頭葉機能障害と行動障害は脳萎縮と相関する2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘、宮田淳、久保田学、松平敬史、高嶋浩嗣、川口典彦、荒木保清、尾内康臣、小尾智一、村井俊哉
    • 学会等名
      第47回日本神経心理学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アルツハイマー病においてミトコンドリア障害はタウ沈着と相関する2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘、Joseph Therriault、松平敬史、武内智康、高嶋浩嗣、小尾智一、塚田秀夫、Pedro Rosa-Neto、尾内康臣
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 認知症疾患のPETによる脳内神経炎症の評価2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘
    • 学会等名
      名古屋大学脳と心の研究センター 第八回東海地区連携拡大ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 早期パーキンソン病におけるゾニサミドの神経保護効果:分子イメージングに基づく3年間縦断的検討2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘、武内智康、橋爪孝典、松平敬史、横倉正倫、高嶋浩嗣、小西高志、小尾智一、尾内康臣
    • 学会等名
      MDSJ2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 早期パーキンソン病においてゾニサミドは側坐核の神経変性を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      寺田達弘、武内智康、橋爪孝典、松平敬史、横倉正倫、高嶋浩嗣、小西高志、小尾智一、尾内康臣
    • 学会等名
      第41回日本神経治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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