研究課題/領域番号 |
23K06944
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
高村 歩美 鳥取大学, 医学部, 講師 (90508368)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / グリンパティックシステム / Aβオリゴマー / glymphatic system |
研究開始時の研究の概要 |
可溶性Aβオリゴマー(AβO)は神経毒性が強く、アルツハイマー病(AD)のバイオマーカーの候補因子である。申請者はこれまでに血液AβOの定量分析法の確立に取り組んできた。血液AβOは、ADに進行する軽度認知障害 (MCI) よりも、増悪せずに安定な経過を示すMCIで濃度が高く、両者が鑑別可能であることを示唆した。この傾向は、脳内から末梢血へのAβO排出抑制が発症の起因であることを反映していると考えられた。 本研究はADマウスの脳組織と初代培養細胞を用いて、末梢血へのAβO排出抑制のメカニズムについて解析する。また、発症前からの経時的な血液AβO定量分析により発症予測が可能なのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
グリンパティックシステムは脳内の老廃物排出経路である。アルツハイマー病(AD)患者やADマウスでは、グリンパティックシステムに異常があることが報告されている。しかしながら、なぜADでグリンパティックシステムの異常が生じるのか、そのメカニズムは解明されていない。グリンパティックシステムはアストロサイトの足突起に特異的に発現する水チャネル「アクアポリン4 (AQP4)」が中心的な役割を担う。ADではAQP4は足突起以外に分散しており、グリンパティックシステムの水流低下が生じていることが報告されている。この水流低下がADの原因物質であるアミロイドβ(Aβ)の脳外排出を抑制し老人斑の形成を加速させている。Aβは特に可溶性オリゴマー(AβO)に強い神経毒性があり、オリゴマー仮説として知られている。 今年度はラット神経グリア細胞腫瘍由来のC6細胞株を用いて、AβO添加によるAQP4局在変化の分子メカニズムの解明を行った。AQP4は、血管基底膜の成分および細胞膜の裏打ちタンパク質と複合体を形成することにより局在が維持されている。AβO添加によりこの複合体に異常が生じることがウェスタンブロットにより示された。また、今年度は5×FADマウスの系統維持を進めつつ、大脳のグリンパティックシステムに関わる因子について解析した。すでに老人斑や認知機能障害、神経細胞のスパイン密度の低下が生じている36週齢のマウスにおいて、細胞実験を裏付ける結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞株およびADマウスを用いた検討により、本研究の目的のひとつであるAβが有するグリンパティックシステムに対する直接的作用を示す結果を得たため。
|
今後の研究の推進方策 |
マウス脳切片の免疫組織染色や、細胞分画・免疫沈降を組み合わせたウェスタンブロットを行い、アストロサイトの足突起に着目したAQP4の局在変化のメカニズムについてより詳細に解析する。また、ADの予防的治療薬の開発に繋がる研究にするために、フェノタイプを示す前の若年マウスの解析を進めて、グリンパティックシステムの異常を経時的に検証する。
|