研究課題/領域番号 |
23K06964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
篠田 紘司 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (70747998)
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研究分担者 |
松下 拓也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00533001)
渡邉 充 九州大学, 大学病院, 助教 (30748009)
磯部 紀子 九州大学, 医学研究院, 教授 (60452752)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 多発性硬化症 / 抗CD20抗体 / CD20陽性T細胞 / B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
多発性硬化症病態における主役はT細胞だと長年考えられてきたが、近年は抗CD20抗体の成功からB細胞の役割が注目されている。申請者は、抗CD20抗体治療がB細胞とT細胞両方を抗炎症性に機能変化させること、CD20陽性CD8+ T細胞が疾患活動性の予測因子となることを国際共同研究にて報告した。今後の課題は、CD20陽性T細胞の起源・体内動態・バイオマーカーとしての可能性、CD20陽性T細胞除去だけでは説明できない抗CD20抗体治療のT細胞活性抑制機構であり、本研究は、CD20陽性T細胞やB細胞を中心とした病態をより詳細に検討し、治療効果に直結する指標や新規治療標的の発見を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、抗CD20抗体によるB細胞除去療法の作用をヒントに、MS病態におけるCD20陽性T細胞とB細胞を中心とした病態をより詳細に解明し、MS疾患活動性に関わる免疫学パラメーターを追求することを目的としている。申請者らは、まず米国ペンシルバニア大学神経内科学Bar-Or研究室で使用されるプロトコル(ETP-P-0001-02, McGill University, 2013)から作成した標準化作業手順に基づき、凍結PBMCバンクを樹立し、運用を開始した。また、多発性硬化症以外も含まれる中枢神経脱髄疾患を前向きに登録し、定期的に臨床的評価、頭部MRI撮像、末梢血や脳脊髄液の検体凍結保存を行い、未知の病態や治療効果やその発症に関わる免疫学的機構、遺伝的要因、環境要因を明らかにすることを目指す「中枢神経脱髄疾患における免疫病態と障害進行メカニズムに関する観察研究」を当施設倫理委員会に申請して承認された(承認番号23328-000)。現在、計画にあるような抗CD20抗体治療前後の検体を前向きに収集中である。また、抗CD20抗体治療に伴う免疫学的変化の検討に関しては、米国ペンシルバニア大学Amit Bar-Or教授らと共同研究を開始した。そこでは、細胞表面にCD20分子発現がない、あるいは低いために抗CD20抗体治療によって効率的に除去されないとされているplasmablastおよびplasma cellがocrelizumab治療によって高度に除去されていることを示し、現在共同著者として投稿準備中である。CD20陽性T細胞の起源・体内動態・機能に関する検討は現在予備実験を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多発性硬化症に対する抗CD20抗体治療が引き起こす免疫学的変化に関する検討は、新たな共同研究により予定以上の進捗を得た一方で、本研究によるCD20陽性T細胞の解析はやや遅れている。当院での臨床情報、高精度のMRI画像検査、凍結PBMC保存を軸とした前向き観察研究はすでに開始されており、検体蓄積が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
観察研究に基づく臨床情報、MRI、血液検体の前向き観察を継続する。今年度は、CD20陽性T細胞の起源・体内動態、B細胞の免疫制御能に関する検討を進めていく。
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