研究課題/領域番号 |
23K06970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
二瓶 義廣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60468501)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | TREM2 / HEK細胞 / ミクログリア / ADAM10/17 / 筋萎縮性側索硬化症 / 抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中枢神経でミクログリアに特異的に発現しているTREM2を作動性抗体で刺激することにより、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の原因蛋白と考えられている TDP-43 の神経細胞間伝播を抑制して神経変性およびALSの病態進展を阻害できるかを検討し、TREM2作動性抗体を用いた新規治療法の開発を目指す。実験方法としては、TREM2恒常活性化細胞モデルを用いたin vitro 実験およびTREM2刺激抗体を用いた in vitro および in vivo (ALSモデルマウス) 実験により、TDP-43の貪食能を評価する。
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研究実績の概要 |
まず、抗体療法による TREM2 活性化のモデルとして、切断抵抗性 TREM2 人工変異安定発現 HEK 細胞の作成を行い、ヒトとマウス両者の変異細胞株の樹立に成功した (Cleavage Resistant: CR 変異)。CR 変異は、ADAM10/17 による切断部位近傍のアミノ酸配列を置換したものであり、野生型と比較して ADAM10/17 による細胞外ドメインの切断産物 (sTREM2) の減少、膜上全長型/成熟型 TREM2 の発現量亢進をウェスタンブロット、フローサイトメトリーなどのアッセイにより確認した。更にこの CR 変異は、TREM2 刺激による Syk シグナリングの活性化 (リン酸化 Syk の発現上昇を ELISA で確認) とファゴサイトーシスの亢進 (E.coli particle を用いたアッセイにより確認) を示し、この切断抵抗性 TREM2 が機能的であることを示した。以上の結果から TREM2 およびミクログリアを超活性化状態にするこの変異は、TREM2 作動性抗体を用いた治療のモデルとなると考えられた。 次に、リコンビナント TDP-43 蛋白の貪食能の確認を試みた。カバースリップ上で培養した empty vector、野生型、CR 変異安定発現 HEK 細胞の培養液中に、リコンビナント His-TDP-43 蛋白 (LSbio) を希釈して投与し、24 時間後に細胞を固定して、免疫染色を行った。統計学的有意差は出ていないが、CR 変異ではわずかに細胞内リコンビナント His-TDP-43 蛋白陽性率が高い傾向が認められた。今後は条件や抗体の選択を行ってアッセイ系の確立を行い、再度貪食能を評価する予定である。更に、ウェスタンブロットやフローサイトメトリーなどを用いて、貪食能を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TREM2切断阻害抗体による実験の前段階での実験であるが、TREM2切断抵抗性変異は細胞膜上全長型/成熟型 TREM2 の発現量亢進を示し、E.coli bioparticle の貪食能は亢進しており、この変異がTREM2およびミクログリア活性化状態のモデルとなりえることが確認できた。本研究においてTDP-43蛋白の貪食能への影響を評価するためのアッセイ系の確立が必要であるが、現段階では確立できていない。His-TDP-43蛋白の濃度や染色で用いる抗体など条件の変更およびウェスタンブロットやフローサイトメトリーなど別のアッセイでの評価法の検討も必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
リコンビナントTDP-43の取り込み評価アッセイの確立を目指す。アッセイ系確立後、CR 変異安定発現HEK細胞、ヒトiPS細胞由来ミクログリア、TREM2切断阻害抗体を投与した野生型マウスiPS細胞由来ミクログリアのTDP-43取り込み能を評価する予定である。
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