研究課題
基盤研究(C)
家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)の解析からALSの病態解析が精力的に進められているが、孤発性ALS(SALS)の病態を十分に反映しているとは言えなかった。SALSは多様な原因で発症すると考えられ、大規模レジストリを用いた解析が必要不可欠である。ただ、多数のクローンを樹立するiPS細胞培養は多大な労力と時間を要するため、簡便なシステムが必要とされている。本研究では、SALS患者のバイオリソースを用いた疾患解析を念頭に、不死化リンパ球を用いて多数の疾患特異的iPS細胞を樹立し、運動ニューロンにおいて病態を再現し、病態解明と治療開発を行うためのプラットフォームを作成することを目的としている。
(1)従来法よりも簡便に高効率にiPS細胞を樹立する手法を確立し、SALS患者からiPS細胞を樹立している。(2)フィーダーフリー(FF)-iPS細胞を運動ニューロンに分化誘導し、オンフィーダー(OF)-iPS細胞由来運動ニューロンと比較検討し、分化誘導効率や成熟能はおおよそ同程度であることを確認した。また、FALS患者-iPS細胞由来運動ニューロンを用いて、FF運動ニューロンとOF運動ニューロンの表現型の差異を検討している。(3)明確なALS病態の表現型を得るための培養条件の最適化:疾患解析に最適な培地組成や培養条件の検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
(1)簡便で高効率なiPS細胞樹立手法を確立し、JaCALSのSALSの患者細胞からiPS細胞の作成を開始している。これらを解析に用いる運動ニューロンに分化誘導し、凍結保存を開始できている。(2)FALS患者由来運動ニューロンにおいて、FFとOF由来運動ニューロンが同様な表現型を示すか検討している。(3)ALS由来運動ニューロンが明確な表現型を示すような培養条件を検討し、神経突起の伸長阻害の再現など、表現型の一部で成功している。
引き続き、FALS由来運動ニューロンにおいて明確な表現型を示す条件を検討する。その条件のもとでSLAS由来運動ニューロンを用いて、TDP-43凝集体や細胞障害などの表現型を検討する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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