研究課題/領域番号 |
23K06987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松本 龍介 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90758038)
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研究分担者 |
岡田 元宏 三重大学, 医学系研究科, 教授 (10281916)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自殺 / パンデミック / 失業 / 自殺予防プログラム / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
2009年以後減少傾向が続いていた本邦の自殺は、COVID-19パンデミック中の2020年に増加に転じた。世界的にみると自殺が増加した高所得国は本邦のみであり、その要因を明らかにすることで、自殺対策構築に寄与することを目的とする。自殺統計解析に用いるデータベースを順次更新し、解析結果を用いて、よりバイアスの少ない、新たな自殺予測方法論の構築を目指す。それにより、今後生じ得る新たな社会的イベントによる自殺率の変化を早期に予測検出し、迅速なエビデンスベース自殺対策計画の立案に貢献したい。
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研究実績の概要 |
2009年から2022年にかけた、性別・年齢層ごとの自殺死亡率(SMR)と失業率との関連について解析した。解雇による失業はSMRと正の相関があった。3か月未満の失業は生産年齢女性のSMRと正の相関があり、パンデミック発生と同期した女性のSMR増加に寄与したと考えられた。12か月を超える失業は生産年齢男性のSMRと正の相関があった。 2007年から2022年までの中学・高校・大学生のSMRと動機について解析した。自殺の主な動機は学校関連、健康関連、家族関連の問題であったが、健康問題によるSMRは年齢とともに増加した。成績不振、親や級友との対立、精神疾患によるSMR増加は2010年代後半よりすでに始まっており、近年増加している学齢期のSMRがパンデミックに関連する要因や、パンデミック以前から存在する社会的要因と関連があることが示唆された。 また、若者のSMRは学生よりも非学生の方が高かった。「自殺予防政策の一般原則」の第1期(2007~2012)では、若者のSMRは減少せず、第2期(2012~2017)では、大学生・専門学校生ではSMRが増加したが、高校生は横ばいだった。第3期(2017~2022)では男子専門学校生を除いてすべてSMRが増加したが、予想外に長期の留年は健康関連のSMRと負の相関があった。学校における自殺予防政策の支援プログラムが部分的に効果をあげていることが示唆された。 さらに、2007年から2022年にかけた、労働年齢層のSMRと動機について解析した。2010年代後半から20~39歳女性では育児ストレスによるSMRの増加がみられた。対照的に30~59歳男性のSMRは2021年まで一貫して減少していたが、2022年に急激に増加した。これらの年代のSMRはパンデミック関連要因とは独立しているが、男性のSMR増加の要因の考察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究において2022年までの自殺統計データをまとめたデータベースが構築されており、統計解析が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き厚生労働省が公開している地域自殺基礎データが公表されるたびにデータベースを更新し、本邦における自殺死亡率の動向の統計解析を行う。 現在、2023年度の地域自殺基礎データを新たに加え、2009年から2023年までの自殺死亡率の変動について解析・考察している。本年度の研究成果にパンデミック終了後の動向を新たに加えることで、パンデミックがSMRに及ぼした影響についてさらに考察を加え、有効な自殺予防対策について考察する。
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