研究課題/領域番号 |
23K07007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泉尾 直孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (50722261)
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研究分担者 |
早川 芳弘 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10541956)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ドパミン神経伝達 / 薬物依存 / 末梢リンパ球 / 頚部リンパ節 / 脳内報酬系 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内報酬系を構成するドパミン神経系は快感・意欲などを司る神経系であり、その異常は精神疾患と強く関連する。現行の精神疾患に対する薬物治療はその満足度が高くなく、新しい機序に基づいた治療戦略が求められている。末梢に存在するリンパ球は脳内に移行することが知られているが、その機能は明らかとなっていない。本研究では、特に末梢T細胞に着目し、脳内移行した末梢T細胞を除去したときの情動変化などをマウスを用いて解析することで、脳内移行した末梢リンパ球のドパミン神経伝達に対する制御機能を明らかにする。本研究は「末梢T細胞-ドパミン神経伝達」連関を標的とした新しい精神疾患治療薬の開発に資する基礎的知見を提供する。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究により、多発性硬化症治療薬であるグラチラマー酢酸塩の皮下投与がメタンフェタミンによるドパミン神経の過剰興奮に起因する依存様行動を抑制することを明らかにした。そのメカニズムを明らかにするため、グラチラマー酢酸塩の薬理作用に着目し、脳内における免疫細胞について検討したところ、グラチラマー酢酸塩が脳内のT細胞数を増加させることを明らかにした。一方、脳内常在性の免疫細胞であるミクログリアに着目したところ、ミクログリアの総数に変化は認められないものの、オステオポンチン陽性ミクログリアが増加することを明らかにした。 脳内で増加したT細胞が末梢T細胞に由来するかどうかを明らかにするため、脳内リンパ管の起始部に当たる頚部リンパ節を外科的に除去した。すると、グラチラマー酢酸塩による脳内T細胞の増加が抑制された。このことから、グラチラマー酢酸塩は末梢T細胞の頚部リンパ節を介した脳内移行を誘導していることが示唆された。また、同時にオステオポンチン陽性ミクログリアの数の増加も消失したことから、末梢から脳内移行したT細胞がミクログリアの制御に関わっていることが明らかとなった。 まとめると、グラチラマー酢酸塩の投与は末梢T細胞の頚部リンパ節を介した脳内浸潤を誘導し、オステオポンチン陽性ミクログリアの数の増加を誘導し、さらにメタンフェタミン誘導性の薬物依存様行動を抑制した。この背景には、末梢T細胞による脳内ドパミン神経の制御機構が存在すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスを利用して、ドパミン神経伝達と末梢リンパ球の役割を明らかにすることを計画していた。しかしながら、グラチラマー酢酸塩の投与により、末梢リンパ球によるドパミン神経伝達に関連した表現型への作用が認められたため、実験に要する個体数を速やかに確保することができた。
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今後の研究の推進方策 |
グラチラマー酢酸塩の投与によるオステオポンチン陽性ミクログリアの増加が認められた脳部位を同定し、ミクログリアを除去した時のメタンフェタミン誘導性の薬物依存様行動にどのような変化が認められるかを明らかにし、T細胞-ミクログリア-ドパミン神経伝達の関係を明らかにする。また、その相互作用を媒介する分子メカニズムを明らかにするため、グラチラマー酢酸塩の投与により誘導される炎症性サイトカインを明らかにする。
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