研究課題/領域番号 |
23K07022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
戸田 重誠 昭和大学, 医学部, 准教授 (00323006)
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研究分担者 |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
白間 綾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (50738127)
信川 創 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70724558)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ADHD / 表現学習 / pupillometry / ドパミン / ノルアドレナリン / 心拍変動指標 / 注意 / 瞳孔径 / 眼球運動 |
研究開始時の研究の概要 |
世界は情報が氾濫しているが、脳の容量には限界がある。そのため脳は各人が重要とみなした情報を抽出して脳内に再構成する(=表現学習)が、この時、注意能力が律速段階となる。ところが注意欠陥多動性障害患者では注意容量が少ない。さらに、ドパミン系障害に伴う価値情報に向けた注意障害と、ノルアドレナリン系過剰反応に伴う不安に関連した過去への注意偏向がおき、表現学習の内容が変容すると仮定される。この予想を、注意負荷の高い認知課題と、注意偏向を検証する課題を被験者に施行し、瞳孔モニタリング技術を用いて、ドパミン反応性を瞳孔径の変化で、ノルアドレナリン依存性は眼球運動の変化を生理学的指標として解析、立証する。
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研究実績の概要 |
本研究のために必要な課題プログラムを、ソフト開発業社と共同で開発中だが、予想より手間取り、本実験はまだ開始されていない。また、注意の偏向には、ノルアドレナリン(NA)のみならず、アセチルコリン(Ach)の関与も可能性が浮上した。特に、NAが不安に関連し、主にpunishmentの学習に関与すると予想されているのに対し、AChは報酬系への関与が示唆され、特に過集中やパブロフ条件付けへの関与が報告されており、注意の偏向への影響は無視できない。 NA神経の起始核である青斑核は他の脳領域を経由して前脳基底部からの入力を受けるhubとして機能すると予想されるが、様々な青斑核への入力を統合的に反映する瞳孔径変化から、Ach由来成分のみを選択的に抽出する方法は確立していない。一方、副交感神経の活動性は心拍変動から観察が可能で、特に副交感神経の指標として、周波数領域解析におけるHigh Frequency(HF)を用いる手法が最も確立している(神原、2021)。そこで、表現学習課題を開始する前に、「①注意要求性課題施行中に心拍と瞳孔径の同時モニタリングを行うことで、瞳孔径からAch変動の指標を非侵襲的かつ簡便に抽出が可能であり、②同指標を用いてADHDとTDの間にAch系の機能的差異が存在することを立証できる」と作業仮説を立て、これを実験的に立証する方針に変更した。注意要求性課題にはAch関与の検討に用いられるsustained attention task(= SAT; Demeter et al, 2008, 2011, Sarter et al, 2016)を用いた。現在、課題プログラム作成が終了し、予備検討を実施しながらプログラムの微調整を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画を大幅に変更したため、進捗としては遅れている。また、研究代表者が勤務先を異動(昭和大学→静岡県立こころの医療センター)になったことも進行の遅れにつながっている。変更後の課題プログラム作成は、初年度途中に開始以来、概ね順調に推移しており、現在ソフトウエア開発業社(株式会社 知能情報システム;京都市)と微調整を行なっている段階である。Pupillometryと心拍変動の同時モニタリングは問題なく行えることを既に確認済みである。
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今後の研究の推進方策 |
プログラム修正の終了次第、まず、完成した課題施行中のpupillometryと心拍変動のデータを同時比較することで、交感神経、副交感神経それぞれをオンタイムで反映する瞳孔径変動、心拍変動の成分を正しく同定する。この試みは、かつて前例がなく、データの解釈に関して議論の多かったpupillometryおよび心拍変動を用いた研究において、大きなインパクトを与えると期待される。この結果を、まず1報目の論文として発表する予定である。続いて、そのデータを基準として、被験者を募集しての本試行を行う予定である。
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