研究課題/領域番号 |
23K07032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古谷 直生 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00807977)
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研究分担者 |
齊藤 夕貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70732436)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脳波 / 複雑性解析 / 神経基盤 / 睡眠覚醒 / 光遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
脳波は、解析技術の進歩もあり、神経精神疾患の診断補助として期待されている。しかし、“ミクロな神経活動”と“マクロな脳波”の因果関係には未解明な部分が多く、解析結果から病態生理を議論することは容易ではない。本研究では、脳波の新規な解析手法を提案し、これによる神経基盤の分類可能性を見出すことを目指す。つまり、この新たな解析手法を遺伝子改変マウスや経路特異的な神経操作を行ったマウスの脳波に適用し、神経の種類や経路と脳波の特徴を関連付ける。マウスの脳波と神経基盤を対応付けることができれば、将来的にヒトや精神症状に応用し、診断の客観的指標やオーダーメイド治療につながると期待できる。
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研究実績の概要 |
睡眠覚醒に関わる神経基盤を調べるため、まずは睡眠覚醒ステージ判定プログラムを作成した。脳波の詳細な複雑性解析を行ったところ、これまで注目されていたデルタ波、シータ波、アルファ波だけでなく、ベータ帯域以上の高周波においても各睡眠覚醒ステージで差異が顕著にみられた。脳波と筋電図におけるこれらの複雑性特徴量と、従来の周波数領域の振幅を用い、ディープニューラルネットワークで学習することで、98%程度の高精度な睡眠覚醒ステージ判定プログラムを開発することができた。また、睡眠構築異常を伴うナルコレプシーモデルマウスであるオレキシンノックアウト(OXKO)マウスの睡眠覚醒ステージを本プログラムで判定したところ、96%以上の高精度で判定できた。先行研究では生データや振幅時系列を用いて時間方向のデータ点を増やすことで判定精度を向上させる方針が一般的であるが、本プログラムでは単一時間点の特徴量だけでも高精度を実現した。これによって、時間方向の情報量を補うほどの有用な情報が複雑性解析で得られることが分かった。このように、既存のプログラムとは異なる新しいアプローチで判定を可能にし、脳波の特徴抽出に用いた詳細な複雑性解析の有用性も証明した。 また、野生型マウスとOXKOマウスの脳波特徴の違いを調べるため、現在OXKOマウスの脳波のサンプル数を増やしている。さらに、オレキシンニューロンの神経操作実験についても条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、野生型マウスの脳波計測を完了し、オレキシンノックアウトマウスのサンプル数を増やしている段階である。また、睡眠覚醒ステージ判定プログラムも開発した。今後の実験に合わせてプログラムの改良も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、オレキシンノックアウトマウスの脳波計測を2024年度中に完了し、神経操作中の脳波計測も進めていく。同時に、オレキシンノックアウトマウスやオレキシンニューロンを神経操作したときの脳波特徴を調べる。
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