研究課題/領域番号 |
23K07079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 正敏 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40241583)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | dual-energy CT / mass density / Monte Carlo simulation / density |
研究開始時の研究の概要 |
モンテカルロ法は、がんの放射線治療を高い精度で実現できる次世代の線量計算アルゴリズムとして期待されている。しかし、線量計算に必要な入力パラメータ「生体の物理密度」は、旧態依然としてCT画像から密度を推測する方法が使われており、その変換過程に内在する不確かさのため、特に高い精度を必要とするリスク臓器近傍の線量計算に支障をきたしていた。本研究の目的は、モンテカルロ線量計算の高精度化を可能とするデュアルエナジーを用いた新しいCT値-物理密度変換法の確立である。本目的達成のため研究期間内に、本手法の物理密度の計算精度を調べると共に、得られる線量分布の精度やロバスト性を検証する。
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研究実績の概要 |
モンテカルロ法は、がんの放射線治療を高い精度で実現できる次世代の線量計算アルゴリズムとして期待されている。しかし、線量計算に必要な入力パラメータ「生体の物理密度」は、旧態依然としてCT画像(シングルエナジーCTで撮影)から密度を推測する『CT値-物理密度変換』が使われており、その変換過程の不確かさのため、特に高い精度を必要とするリスク臓器近傍における線量計算の潜在的な誤差となっている。本研究の目的は、モンテカルロ線量計算の高精度化を可能とするデュアルエナジーを用いた新しい『CT値-物理密度変換』の開発である。本目的達成のため研究期間内に、デュアルエナジーCT装置を用いた撮影を通して本手法の物理密度の計算精度を調べると共に、得られる線量分布の精度やロバスト性を検証する。本年度の研究計画に基づき、物理密度イメージングのための『デュアルエネルギーCT値-物理密度変換』による数値解析を行った結果、広範なヒト組織において、原子番号/質量比と実効原子番号の間に単純な2次の線形関係があることが明らかになった。シミュレーションされた物理密度値は、0.260(肺)から3.225(ハイドロキシアパタイト)までの密度範囲において、参照値と非常によく一致した。参照値からの相対的な偏差は、眼の水晶体(約-1.0%)を除いて、すべての基準ヒト組織で±0.6%以内に留まっていた。さらに本手法を臨床用dual-source CT装置(Somatom FORCE, Siemens)を使って管電圧条件90-150 kV/Snで行った。CT撮影する被写体として電子密度校正用ファントム(Gammex RMI 467, Gammex)を用いた。解析の結果、Gammexファントムのすべてのロッドにおいて、物理密度の計算値と参照値の間に良好な一致が見られ、本手法の実用可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた“電子密度や組成が既知の被写体の物理密度校正を通した「デュアルエネルギーCT値」から「物理密度」への変換精度の検証”を実施し、本新規手法の基本性能についてある程度検証できている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の結果を踏まえて、本手法の実用化を見据えた下記項目について研究を遂行する。 ①本手法の線量分布の計算精度やロバスト性を検証 被写体の様々なサイズや形状変化による『デュアルエナジーCT値-物理密度変換』の結果が、モンテカルロベースでの線量計算に与える影響を定量的に検証する。 ②撮影条件の最適化 より低い被曝で正確な物理密度変換に基づく線量計算を実行可能とするデュアルエナジーCTの撮影条件(管電圧,管電流,付加フィルタなど)を最適化する。
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