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臨床用CTを用いた大腿骨皮質の骨質評価法の確立:骨粗鬆症の日常診療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K07086
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52040:放射線科学関連
研究機関長崎大学

研究代表者

弦本 敏行  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (60304937)

研究分担者 高村 敬子 (大神敬子)  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80812924)
遠藤 大輔  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (90516288)
佐伯 和信  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80195966)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード大腿骨 / 皮質骨 / 骨粗鬆症 / 皮質骨多孔化 / CT画像解析 / Cortical bone / Bone quality / Osteoporosis / CT scanner / Cortical porosity
研究開始時の研究の概要

骨粗鬆症診療における各種骨量評価方法のほぼ全ては海綿骨を計測対象としたものである。一方で、ヒトの骨格に占める皮質骨の重量比は約80%とも言われており、皮質骨の定量、定性評価方法の開発と、その日常診療への導入は急務な課題である。皮質骨の骨粗鬆症化メカニズムに関しては、骨髄側領域で進行する多孔化と海綿骨化という一連の生理的過程が注目されている。本研究では、これまでにわれわれが確立したヒト骨格標本に関するCT画像解析方法を応用して、生体における大腿骨骨幹部皮質の骨質の客観的評価方法を確立し、最終的には本評価方法を実臨床に応用可能とするための基礎データを収集することを目的とする。

研究実績の概要

申請時の研究計画に従って以下の解析を実施した。(1)解剖体のCT画像の取得を実施した。その結果、これまで取得した画像データと集計して解剖体の右大腿骨約100体のCT画像データを取得した。(2)各大腿骨のCT画像から抽出したDICOMデータの解析方法の改良を行った。これまでわれわれが考案した「骨密度指数」は大腿骨横断面画像のHU値を元に断面内の骨密度の大小を相対的に評価するものであったが、この算出方法を改良して個体間の比較が可能となる絶対的評価方法を考案した。新しい方法の原理は、大腿骨皮質骨の横断面に分布する多孔化領域ではHounsfield unit(CT値)が低値になることに注目して、横断面の各領域のCT値のヒストグラムを作成し、これらを画像解析分野で使用される「判別分析法」を応用して二値化のための閾値を決定することによって多孔化領域を同定するものである。一連の計算手順を行うためのMicrosoft Excelマクロ解析シートのテンプレートを作成し、これに各断面のDICOMデータをペーストすることによって計算過程を簡素化した。(3)われわれがこれまで研究対象としていた骨格標本サンプルの右大腿骨を対象に本法を応用して、この評価方法の有用性を検証した。その成果を第77回日本人類学会および第129回日本解剖学会の2学会で報告した。これら一連の研究報告によって、骨格標本において皮質骨の多孔化領域の分布範囲とその程度が客観的定量的に評価できること、同じ対象骨における皮質骨の菲薄化の程度や海綿骨の骨密度との関連性を明らかにすることができた。(4)のちに対象大腿骨の生体力学的評価を実施するため、当教室既存機器の骨組織解析に特化した有限要素法解析ソフト(MECHANICAL FINDER)の設定・調整を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請研究では、これまでにわれわれが確立したヒト骨格標本に関するCT画像解析方法を応用して、生体における大腿骨骨幹部皮質の骨質の客観的評価方法を確立し、最終的には、本評価方法を実臨床に応用可能とするための基礎データを収集することを目的としている。そのためには、まず初年度として、研究対象に関するCT画像データを収集すること、さらに、CT画像解析方法に改良を加えて、より客観的絶対的な定量方法を確立すること、を目標として研究を開始した。
2023年度では概ねこれらの課題を達成することができたと考える。まず、解剖体の右大腿骨約100体のCT画像を取得することができた。これらはすべてスライス幅0.5㎜のCT画像データであり、さらに撮影時に骨塩定量ファントムを使用しているため、骨密度の換算が可能である。
また、大腿骨断面内の多孔化領域を反映するCT値の低い領域が同定できる新たな画像解析方法を考案した。これを用いて既存のヒト大腿骨骨格標本の解析を試み、以下の2つの報告を実施した。第77回日本人類学会における研究報告(タイトル;「判別分析法を応用したヒト大腿骨皮質骨の骨粗鬆度の定量的解析」)では、現代日本人大腿骨骨格標本90例を対象とし、それぞれの皮質骨の骨粗鬆度を算出。男女いずれにおいても皮質骨の厚さが減少するほど骨粗鬆度は増大すること、男性よりも女性の方が骨粗鬆度は大きい傾向があることを確認した。また、第129回日本解剖学会における研究報告(タイトル;「ヒト大腿骨の骨幹部皮質骨と頚部海綿骨における骨密度の関連性の検証」)では、現代日本人大腿骨骨格標本108例を対象とし、同じ大腿骨内の海綿骨と皮質骨の各骨粗鬆化度の間に正の相関性が認められるが、両者の進行度は全く同様ではなく個体ごとに異なる要因が関与していることが示唆される、ということを示した。

今後の研究の推進方策

まず、初年度に発表した2つの研究成果をまとめて英語論文を作成する計画である。その過程で新たな問題点が明らかになる可能性もあり、修正を加える必要性があればそれに対応する。
さらに、申請時の研究計画に従って遺体のCT画像データの解析を進める。すなわち、遺体の右側あるいは左側の大腿骨のCT画像データからDICOMデータを抽出し、これまで骨格標本を対象とした解析で確立した方法の修正を試みる。例えば、これまで確立した評価方法の対象は骨格標本であるが、遺体における評価においては大腿骨自体の状態およびその周囲の軟部組織の状況を考慮する必要があるため、皮質骨領域の抽出方法に検討を加える必要があると考えられる。また、撮影時に使用した骨塩定量ファントムを用いて各部位の骨密度を算出し、皮質骨の多孔化領域の分布範囲とその程度を皮質骨及び海綿骨の骨密度と比較して検討を加える。
また、これらの作業と並行して、今後も大学に搬入される遺体のCT画像データの集積を図る予定である。これまでは左右いずれかの大腿骨の横断面画像を取得したが、これらに加えて、両側大腿骨を含む画像に関しても評価対象に加えることができるよう画像データを集めて検討を重ね予定である。これらは、過去に撮影されたCTデータの利用を想定した、いわゆるOpportunistic Screeningの可能性を探るために有用である。さらに、有限要素法解析ソフト(MECHANICAL FINDER)を用いて対象大腿骨の生体力学的評価を実施し、その結果と皮質骨多孔化現象との関連性を検証する予定である。
最終的には、大腿骨皮質骨における多孔化領域を定量化する新しい骨粗鬆症評価システムを提案したいと考えている。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒト大腿骨の骨幹部皮質骨と頚部海綿骨における骨密度の関連性の検証2024

    • 著者名/発表者名
      弦本敏行、遠藤大輔、佐伯和信、村井清人、髙村敬子
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 判別分析法を応用したヒト大腿骨皮質骨の骨粗鬆度の定量的解析2023

    • 著者名/発表者名
      弦本敏行、遠藤大輔、西啓太、佐伯和信、村井清人、高村敬子
    • 学会等名
      第77回日本人類学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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