研究課題/領域番号 |
23K07097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
武島 嗣英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員 (10360950)
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研究分担者 |
高橋 豊 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40353461)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | X線治療 / 重粒子線治療 / がん特異的CTL / 免疫療法 / CD8+細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、X線または重粒子線と免疫療法の併用プロトコールの最適化のための基礎データを得ることを目的とする。まずは、X線と重粒子線(炭素イオン線)照射が起こす抗腫瘍免疫応答の特徴、特にCTL誘導能の特徴と治療効果への免疫の依存性を調べる。次に、X線と重粒子線療法と、作用機序が異なる3種類の免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤、樹状細胞療法、CTL移入療法)との併用効果を観察し、その治癒メカニズムを比較する。
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研究実績の概要 |
放射線治療の効果は、放射線による物理的DNAの切断による腫瘍細胞の死滅と、その後に引き起こる抗腫瘍免疫応答の結果であることが知られている。この研究の目的は、X線と重粒子線の免疫応答に関する基礎データを得て、両者の併用による免疫療法の最適化を図ることである。 本年度はまず、がん細胞株B16-OVAを用いて、X線と重粒子線の照射後の細胞生存率を測定した。そこから得られた10%生存率線量からRBE値2.2を得た。次に、B16-OVA担癌マウスにX線または炭素イオン線を照射し、腫瘍内でがん特異的キラーT細胞(CTL)が誘導されるかどうかを調べた。X線を10~30 Gy、炭素イオン線を5~15 Gy照射した後、腫瘍内リンパ球中のがん特異的CTL であるCD8+OVA-Tetramer+細胞数を測定した。その結果、両放射線とも照射後にCD8+OVA-Tetramer+細胞数増加は確認できたものの、その増加については放射線による違いも線量依存性も見られなかった。 さらに、X線と炭素イオン線の免疫応答について検討した。B16-OVA担癌マウスとCTLを除去したB16-OVA担癌マウスにそれぞれX線と炭素イオン線を照射し、腫瘍サイズを比較した。その結果、CTLの有無に関係なく、両放射線とも線量依存的に腫瘍増殖速度が抑制されたが、CTL無しマウスではCTL有りマウスに比べて腫瘍増殖速度が速かったことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両放射線で治療後のがん特異的CTL産生数の違いが確認できずやや難渋しているが、CTL有り無しのマウスを使うことによって、両放射線の腫瘍増殖速度に違いが見られていることから、仮説通りに研究が進み全体としてはおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCTL有りとCTL無しマウスのデータを継続して測定し、腫瘍増殖速度の違いをRBEに換算し、X線と炭素イオン線での免疫依存性を比較する。また、担癌マウスをそれぞれの放射線治療と免疫治療を併用し、どちらの放射線が高い治療効果を示すかを見る予定である。
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