研究課題/領域番号 |
23K07116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
石井 聡 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (90442730)
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研究分担者 |
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (70443067)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 放射線検出器 / リアルタイムイメージング / X線検出器 |
研究開始時の研究の概要 |
亜鉛-ガリウム系酸化物のナノ粒子からプラスチック基板の表面に形成した薄膜を用いて,フレキシブルなX線イメージング検出器を作製する.検出器は多数の小型ダイオードの配列から構成され,個々のダイオードからX線電流を順次読み出して線量率分布に変換し,これをリアルタイムで画像化するイメージングシステムを構築する.放射線治療と同じエネルギーのX線照射に対してリアルタイムイメージングを実施し,検出感度をはじめ空間分解能や曲げ耐性などを評価することで,本検出器の性能を実証する.
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研究実績の概要 |
pHを約5.2程度まで低減させた前駆体水溶液を用いてZnGa2O4(以下,ZGO)のナノ粒子を水熱合成し,これを基板の表面に薄膜化する手法を構築することができた.合成したZGOナノ粒子をバインダ樹脂に混合し,石英基板の表面にスピンコートしたものを大気中でアニール(500~900 ℃)することでZGOナノ粒子薄膜を作製した.アニール温度を900 ℃以上にするとGa2O3が不純物相として析出することから,本手法ではアニール温度を800 ℃以下にする必要があることを明らかにした. また,ZGOナノ粒子薄膜の表面にくし型のAu薄膜電極をパターニングすることで,テスト用検出器となるショットキー障壁型のダイオードを作製した.X線照射の予備実験として短波長紫外線(波長:254 nm)を照射したところ,光電流を観測できた.さらに,照射のONとOFFを繰り返すと連続的な光電流応答を示し,その大きさは印加電圧に依存して増加することが分かった.したがって,本研究で作製したZGOナノ粒子薄膜が検出器として利用可能であることを確認できた. さらに,薄膜形成時のアニール温度を高くすると暗電流が低減し,検出器特性のひとつである光電流/暗電流比が増加したことから,アニール温度を利用した検出特性制御の有効性を実証できた.ZGOナノ粒子薄膜においてX線回折による結晶性や,X線光電子分光による酸素原子の結合状態などを評価した結果,通常のZGO試料と比較して酸素欠損の濃度が高く,高温ではさらに酸素欠損が増加するために結晶性が向上し,暗電流が低減したことが明らかとなった.以上から,次年度の研究において放射線検出器を作製し,その特性制御に向けた足掛かりとなる知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りZGOナノ粒子を薄膜化する手法を構築するとともに,ダイオードを作製し光電流特性も確認できたことから,概ね順調に進行していると言える.また,PET基板表面へのZGOナノ粒子薄膜の作製にも着手し結晶構造などの評価も進めた.X線照射実験には至らなかったものの,X線電流の制御に必要となる知見を得られたことから,次年度計画の速やかな遂行が予想される.
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今後の研究の推進方策 |
X線電流測定および画像化までを含む一連のリアルタイムイメージングのためのシステムについて構築を進める.リアルタイム測定で得られた電流値を線量率に変換し,2次元分布として逐次表示するためのプログラムを作成する.これまで測定制御に用いていたソフトウェアではリアルタイムでのグラフ出力が複雑になるため,新たなソフトウェアを導入し測定制御からグラフ化までを一括して円滑に制御できるようにする.また,現在の検出器配列は3×3個であるため,引き続き電極のサイズダウンを進めることで配列数,ひいてはイメージングにおけるピクセル数を増やしていく.
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