研究課題/領域番号 |
23K07145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
今泉 大将 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90848160)
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研究分担者 |
松村 美紀 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (00380254)
皆巳 和賢 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90634593)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 放射線治療 / がん転移 / 核膜タンパク質 / LINC複合体 / SUN1 |
研究開始時の研究の概要 |
X線治療にはX線誘発性のがん転移を引き起こすという課題があり、細胞レベルにおいても同様に、X線照射によりがん転移に関連する細胞運動が亢進する現象が起きる。そこで、なぜX線を照射した際に細胞運動が起こるのかというメカニズムを学術的に明らかにしなくてはならない。本研究では、がん転移の要因となる細胞運動に関係のある核-細胞質を結合するLINC複合体構成因子SUNを例にとり、細胞運動に関わり悪性度進展の指標となる上皮間葉転換に着目し、X線誘発性細胞運動の分子メカニズムの解明を目指す。本研究によりX線誘発性がん転移のメカニズムが明らかとなれば、がん転移抑制効果を組み入れた放射線治療法を提案できる。
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研究実績の概要 |
がん治療の1つである放射線治療に主に用いられるX線には、X線誘発性のがん転移を引きおこすという課題があり、細胞レベルにおいても同様に、細胞がほとんど生き残る線量である亜致死線量のX線照射をおこなうと、がん転移に関連する細胞運動が亢進する現象が起きる。そこで、なぜX線を照射した際に細胞運動が起きるのかというメカニズムを学術的に明らかにしなくてはならない。 本研究では、がん転移の主な要因となる細胞運動に関係がある、細胞核-細胞質を結合するLINC (Linker of nucleoskeleton and cytoskeleton) 複合体構成因子の1つであるSUN1 (Sad1 and UNC84 domain containing 1) に焦点を当て、細胞運動に関わり悪性度進展の指標となる上皮間葉転換に着目し、X線誘発性細胞運動の分子メカニズム解明を目指す。本研究により、X線誘発性のがん転移メカニズムが明らかとなれば、がん転移抑制効果を組み入れた放射線治療法を提案できる。 これまでにX線照射24時間後の細胞運動活性化、またX線照射24時間後に細胞運動活性化を引き起こす要因として上皮間葉転換が誘導されることを明らかにした。さらに、乳がん細胞株MDA-MB-231などのがん細胞に対するsiRNAを用いたLINC複合体構成因子SUN1の発現抑制条件を検討し条件を決定した。この結果をもとに、次年度はLINC複合体とがんの悪性度進展メカニズムの解明に向けてさらなる解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では[A]X線照射による細胞運動亢進・悪性度進展の指標である上皮間葉転換の評価、[B]LINC複合体とX線誘発性の上皮間葉転換の関係、[C]LINC複合体と上皮間葉転換関連シグナル伝達経路の関係について研究を進めている。 本年度は当初の計画通り[A]と、[B]の1部について実験を進めた。 まず[A]においては創傷治癒アッセイを用いてX線照射後の細胞運動の活性化、そしてタンパク質の増減を評価するウエスタンブロットにてカドヘリンやSnailなどに着目しX線照射後の上皮間葉転換の存在を明らかにした。 次に[B]のはじめとして、siRNAを用いてLINC複合体の発現抑制をおこなう条件を確定した。この決定により、[B]の詳細な解析を進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた条件をもとに、次年度は[B]LINC複合体とX線誘発性の上皮間葉転換の関係について実験を進めていく。またそれに続いて、[C]LINC複合体と上皮間葉転換関連シグナル伝達経路の関係について研究に取り組む予定である。
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