研究課題/領域番号 |
23K07163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川口 毅恒 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80597823)
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研究分担者 |
樋渡 昭雄 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30444855)
河合 辰哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70597822)
木曽原 昌也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90906231)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 人工知能 / 内耳奇形 / deep learnig / 機械学習 / 側頭骨 / 蝸牛神経低形成 / 耳硬化症 / ディープラーニング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、教師なし学習のディープラーニングの技術である変分オートエンコーダ (Variational AutoEncoder; VAE)を利用して、CT画像での希少疾患の検出を目指す。VAEでは、訓練画像の特徴を捉えて、テスト画像から訓練データセットに似た画像を生成することができる。正常な側頭骨CTを訓練データとして学習させ、構築したネットワークにテスト画像を入力することで、テスト画像を元に訓練データに類似した側頭骨画像が作成される。この作成画像と元のテスト画像との差分を異常部位として判定する。テスト画像としては、蝸牛神経管狭窄、耳硬化症を用意し、異常を正しく判定できるかを評価する。
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研究実績の概要 |
小児の感音難聴には人工内耳手術が考慮されるが、蝸牛神経低形成や耳硬化症は改善効果が乏しい。しかし、これらは稀で微細な異常で、中耳奇形に合併していることもあり、専門医でも診断に苦慮することがある。一方、コンピューターによる自動診断は、教え込んだ範囲内の所見であれば、人間と異なり見落としがなく、また、迷わず客観的に診断できる点から、近年ディープラーニングの手法を用いた論文が多数掲載されている。しかし、ディープラーニングは機械に教え込ませる症例数や計算時間が膨大となり、多くは2次元画像の解析のみにとどまっている。また、今回のように希少疾患の場合には異常症例が十分な数得られず、教師画像を用いた人工知能の学習は困難であるという問題点がある。以前に我々は、内耳奇形の3D画像に対しディープラーニングによる自動検出に成功し、副鼻腔領域においても教師画像なしで人工知能を学習させ、自動診断を行う研究を行っている。今回はその知見を生かして、教師なし学習Variational autoencoder (VAE)の手法を用い、症例数の少ない蝸牛神経低形成や耳硬化症の自動診断の確立を目指している。昨年度は、以前の研究を下地にさらにその診断精度を上げて蝸牛神経低形成や耳硬化症の自動診断を可能とするべく、解析時の関数の変更やプログラムの見直しに着手していたが、研究分担者でありプログラム構築とデータ管理を行っていた小川が急逝し、プログラムの見直しや関数調整、症例収集について前研究の知見が充分に生かせなくなってしまった。特にプログラミングの調整については小川の行っていた進捗状況に不明な点があり、再度別の分担者と共に再構築を行っている途上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究分担者であり、人工知能のプログラミングとデータ管理を行っていた小川が他研究者にPCのパスワードを伝えることなく急逝してしまったため、小川が使用していたPC内のデータを確認することができなくなってしまった。研究の基盤となるプログラムコードについては、研究責任者が生前の小川と共有していたが、関数調整などの試行状況に不明な点が多く、また小川が収集・管理していた画像データも使用できなくなってしまった。小川の行っていたコードの確認及び調整を一からやり直さなければならず、また、画像データの再収集も行わなければいけない状況となり、研究の進捗状況は大きく後退した。現在、新たに研究分担者として加わった木曽原と共に研究環境を再構築し、小川の遺したプログラムコードの解析と、症例画像の再収集を行っている。幸いなことに小川が試験的に行った人工知能のトレーニングデータや症例リストは共有されていたデータ内に遺されており、これを使って蝸牛神経低形成や耳硬化症、あるいはその他の疾患に対してプログラムを適用し、自動診断が可能かどうかを検証することは可能な見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例画像の収集に努めるとともに、既存のプログラムコードを元に蝸牛神経低形成や耳硬化症症例の自動診断を試行し、適宜関数の調整を行って精度の向上に努める。プログラムを以前の研究で使用していたMATLABではなく、人工知能分野でより普及しているPythonに変更することで他研究への応用性、汎用性を高める。蝸牛神経低形成や耳硬化症症例に限らず、内耳・中耳分野の幅広い疾患へのプログラム適用も視野に入れている。
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