研究課題/領域番号 |
23K07168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
奥田 光一 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (60639938)
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研究分担者 |
渡邉 直人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40210926)
若林 大志 金沢大学, 附属病院, 講師 (60622818)
関川 祐矢 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (90880766)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 内用療法 / デジタルファントム / モンテカルロシミュレーション / アイソトープ内用療法 / 被ばく線量計測 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
患者に放射性医薬品を投与し,体内から放射線を照射するアイソトープ内用療法では,被ばく線量計測のために医薬品の体内濃度分布の頻回なモニタリングが必須である。本研究の目的は患者体内の放射性医薬品の濃度分布をコンピュータで再現することで,1回のイメージングのみで被ばく線量の経時変化を予測可能とする画期的な方法を開発することである。ヒトの体を模型(デジタルファントム)化することで,患者ごとに異なる薬物動態を網羅的に再現し,その中から患者に合致する条件を選ぶことで,モニタリング前後の被ばく線量が予測できる。
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研究実績の概要 |
患者に放射性医薬品を投与し,体内から放射線を照射するアイソトープ内用療法では,被ばく線量計測のために医薬品の体内濃度分布の頻回なモニタリングが必須である。本研究の目的は患者体内の放射性医薬品の濃度分布をコンピュータで再現することで,1回のイメージングのみで被ばく線量の経時変化を予測可能とする画期的な方法を開発することである。ヒトの体を模型(デジタルファントム)化することで,患者ごとに異なる薬物動態を網羅的に再現し,その中から患者に合致する条件を選ぶことで,モニタリング前後の被ばく線量が予測できる。 本年度は研究を実施するための実験環境(デジタルファントムの作製およびデジタルファントムのシミュレーション)の構築を行った。そのために,単純形状の球体を用い,その内部にアイソトープがあるものと仮定し,モンテカルロシミュレーションにて吸収線量の計測を実施した。吸収線量の計測結果は妥当であり,球形の対象物では物質と放射線の相互作用によるエネルギー損失を予測できることが明らかになった。吸収線量計測のための実験システムを構築することが可能となり,今後予定している臨床データを用いた検討にシームレスに移行することが可能となる。現在,アイソトープの内用療法は国内において実施件数が徐々に増えている段階であり,今後はさらなる治療件数の増加が予想される。そのため内用療法において,本研究成果が実用化されることで患者の利益につながることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,①薬物動態を再現した生理学的機能を有するデジタルファントムを作成し,②被ばく線量推定法の開発を目的としている。2023年度は,デジタルファントムの作成およびデジタルファントムを用いた吸収線量計測を実施した。まず,基礎的検討として球体のデジタルファントムを作製した。1mL,5mL,10mL,100mLの球体デジタルファントムを構築し,内部にLu-177を1MBq点線源として設置したシミュレーションを実施した。シミュレーションは,モンテカルロ法に基づいたコード(Geant4 Application for Tomographic Emission,オープンソース,https://github.com/OpenGATE)を用いて吸収線量の計測を実施した。シミュレーション後のデータ解析環境はプログラミング言語Pythonで構築した。デジタルファントムの作製およびシミュレーションコードを使用した吸収線量計測の基盤技術の構築を行うことができた。一方で,臨床症例を模した検討はやや進捗が遅れている。神経内分泌腫瘍の治療が終了した患者のCT画像からデジタルファントムの作製の着手に至っているが,CT画像の臓器の輪郭抽出が困難な場合はXCATファントム(Duke大学,ライセンス契約)の一般化された臓器モデルの使用を視野に入れる。そのため,2023年度に予定していた,臨床を模したデジタルファントムによる吸収線量計測を目指した研究項目は実施出来ていない状態である。そこで,米国核医学会から提供されている臨床データ(Lu-177 Dosimetry Challenge,https://sites.snmmi.org/therapy)を使用し,基礎検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,被ばく線量の最適モニタリング時刻の探索およびデジタルファントムに基づいた時間放射能曲線の作成を実施する。まず,臨床データに基づいた時間放射能曲線の傾きに注目し,最適モニタリング時刻の探索を行う。次に,デジタルファントムにおいて,腸,肺,肝臓,腎臓,腫瘍にアイソトープ(Lu-177)が集積したと仮定し,投与直後から72時間までの時間放射能曲線を複数条件規定する。また,2023年度から着手を行っている,臨床CT画像よりデジタルファントムの作製方法の確立を目指し,さらに臨床を模したデジタルファントムより吸収線量計測を行う。
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