研究課題/領域番号 |
23K07176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
貝田 佐知子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70710234)
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研究分担者 |
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
村上 陽子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90796145)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 胃癌 / ナビゲーション手術 / 人工知能 / 画像解析 / 胃切除術 |
研究開始時の研究の概要 |
侵襲の低く正確な手術が行える腹腔鏡手術、ロボット手術の普及が目覚ましいが、画像の高精細化が進むことでデータ量が膨大になる一方、それを解釈する点においてはアナログであるのが現状である。近年では医療分野で人工知能(AI)の研究開発が進められているが、管腔臓器であり伸び縮みする胃については全容をAIで認識するとことは未だ行われていない。本研究は全患者に行うCT検査の画像データの中からAIが自動的に「胃」を認識し、さらに胃に流入する血管を認識させ、「胃」の自動認識画像と融合(fusion)させることで、より詳細な解剖学的情報を提供できる、新しいデジタルアナログ融合システムを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度の研究実績として、申請者の施設では、代表者である貝田佐知子が胃癌患者の診療にあたり、治療方針の決定は分担者であり診療科長の谷教授が決定した。年間症例数は50症例程度であった。全患者の術前および術後に高精細造影CT画像を撮像した。予備実験として、既に撮像した腹部CT画像を3症例程度解析し、これにあらかじめ「胃」「肝臓」「膵臓」「腎臓」「肺」といった周囲組織を自動で認識させると臓器ごとに色分けされたデータが3D画像として得られた。胃の特徴としては食道から十二指腸まで連続してつながる消化管であり、胃の内容物や腫瘍性病変があってもAIが「胃」と認識できるようになるまで繰り返した。胃以外の周囲臓器を誤って胃と認識してしまった場合には、間違いであることを再度認識させた。このようにしてトライアンドエラーを繰り返すうちに、最終的にはAIのみで胃と周囲臓器の境界が認識できるように学習させた。画像のより専門的な解析は放射線科医師である村上陽子が行った。合計20例程度の解析を行い教師データを作成した。胃の支配血管の学習では、例えば左胃動脈であれば大動脈から始まり腹腔動脈、左胃動脈と分枝して最終的に胃に行き渡る連続した索状物として覚え込ませた。腹腔内臓器を栄養する血管は複雑で細分化されているため、血管構造を自動認識(血管のみを抽出して解剖学的な名称と対応させる)することができれば、術前診断のみならず術中ナビゲーションにつなげることが可能であり、ロボット手術や鏡視下手術時の操作時において先を読んだ手術を実現可能にすると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、術前患者の高精細単純3DCTを用いて統計分析(主成分分析など)を行い、患者や病態で異なる胃や周囲臓器(肝臓、膵臓、血管系など)について、その平均の形状や少数の変形成分(主成分)パラメータを10-30の変数で表現し、これを人工知能(artificial intelligent:AI)に覚え込ませることが初期段階に必要なプロセスであったが、患者の胃の形状分類や周囲臓器、血管との位置関係を、すべての症例で細かな特徴まである程度詳細な画像化を行うことが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度以降は、胃の支配血管を学習にすすむ予定である。例えば左胃動脈であれば大動脈から始まり腹腔動脈、左胃動脈と分枝して最終的に胃に行き渡る連続した索状物として覚え込ませる。この際のAIによる誤りについては放射線科医師である村上陽子が修正作業を行う。腹腔内臓器を栄養する血管は複雑で細分化されているため、血管構造を自動認識(血管のみを抽出して解剖学的な名称と対応させる)する作業には時間を要するが、代表者である貝田佐知子が実際の胃切除手術によってAIが自動認識した胃周囲の血管が正しいかどうかを確認する作業を行うことも本年度の目標とする。 来年度以降は、AIにより生成された胃および血管の画像を、最終的に村上陽子がチェックし、完成度の高いものから実際の手術でモニターに連動させ、代表者である貝田佐知子がリアルタイムに画像を確認しながら手術することで出血量や手術時間の短縮につながるかどうか検討することができればと考える。実際の手術についての方針決定は診療科長の谷教授が行う予定である。
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