研究課題/領域番号 |
23K07180
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 優子 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (40598984)
|
研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
檜垣 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (80611334)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | ガドキセト酸ナトリウム / MRI / 肝細胞機能 |
研究開始時の研究の概要 |
肝細胞特異性MRI造影剤であるガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA: EOB)は正常肝細胞に取り込まれるため、EOB造影MRI画像で非侵襲的に肝障害の程度(肝機能)を推定できる可能性があるが、EOBは肝細胞外の細胞間隙や血管腔内にも分布するため、EOB造影MRIにおける肝濃染の程度から直接肝機能を推定するのは困難であった。本研究では、肝細胞外に存在するEOBの信号をMotion-sensitized driven equilibrium (MSDE)法により抑制することで、肝細胞に取り込まれたEOBの信号のみを選択的に検出できるMRI撮像手法の確立をめざす。
|
研究実績の概要 |
肝障害の進行は肝機能の悪化に伴う肝不全や原発性肝細胞癌の発生といった致命的な病態につながるため、肝障害の程度を正確に診断し早期に治療介入する必要がある。肝障害の評価のgold standardは針生検による病理学的診断であるが、針生検はときに腹腔内出血等の致死的な合併症を生じることがある。また肝障害は全肝で不均一に発生するが、針生検はごく一部の肝組織のみの評価しか出来ない。肝細胞特異性MRI造影剤であるガドキセト酸ナトリウム(Gd-EOB-DTPA: EOB)は肝細胞と非肝細胞(腫瘍性病変)を高精度に鑑別することができ、臨床で広く普及している。EOBは肝細胞機能に応じて肝細胞に取り込まれると考えられ、EOB造影MRIによる肝障害の程度(肝機能)の非侵襲的な評価が期待されるが、EOB造影MRIにおける肝実質の造影効果と肝機能は完全には一致しない。その原因として、申請者はEOBが肝細胞内のみならず、肝細胞外にも分布するためではないかとの仮説を立て、肝細胞外に存在するEOBの信号をMotion-sensitized driven equilibrium (MSDE)で抑制し、肝細胞内に分布するEOBの信号のみを選択的に捉えることが可能な撮像法を開発、その有用性を検討することを目的とし、本研究を開始した。2023年度は研究協力者である西原崇氏の協力のもと提案撮像法の開発、最適化を行い、本撮像方法について論文発表を行った(Nishihara T, et al. Magn Reson Med Sci 2024 Epub ahead of print)。また本撮像法の臨床検討も開始し、第109回北米放射線学会(2023年11月26-30日、開催地シカゴ)にて初期経験として口頭発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のごとく、提案手法の確立は終了し、臨床的有用性に着手できており、順調に本研究を進められている。
|
今後の研究の推進方策 |
EOB造影MRIにおける肝造影効果と肝機能が一致しないことが提案手法開発の大きなきっかけとなっているため、今後は提案手法を用いることでEOB造影MRIで肝機能をより正確に評価ができるかの検討をすすめていく。またEOB造影MRI検査は検査時間が比較的長いが、肝細胞のみの造影効果を反映する提案手法は従来法と比較し腫瘍-非腫瘍間のコントラスト増強により撮像時間を短縮できる可能性もあるため、この点についてもあわせて検討を行う予定である。
|