研究課題/領域番号 |
23K07196
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
岡田 真希 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員 (00415407)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | PET / セリン / DAO |
研究開始時の研究の概要 |
D-セリンは生体内に存在するD-アミノ酸であり、その異常はアルツハイマー病や統合失調症、筋萎縮性側索硬化症などの精神神経疾患に関与していると言われている。また近年ではベンジルセリンやセリン関連酵素阻害剤による腫瘍増殖抑制効果およびD-セリンによる腎機能回復効果も報告されている。しかしながら、体内でのセリンの挙動は不明な点が多く、その動態や機能解明が期待される。 本研究では、セリンを指標とした PETプローブを用いてセリンと疾患との関連の追求や診断法、治療法の開発・探索につなげる。
|
研究実績の概要 |
既報のDアミノ酸酸化酵素(DAO)阻害剤の11C標識体である[11C]DAO-1903を合成した。[11C]DAO-1903は脳へは集積しないため、[11C]DAO-1903による腎機能評価を試みた。 in vitro オートラジオグラフィでは腎臓に高い集積がみられた。その中でも腎皮質と腎髄質の境界辺りに高い集積が局在していた。この部位はDAOが存在すると報告されている近位尿細管であると想定された。またDAO阻害剤であるCompound8によってその集積は腎盂と同程度まで低下したため、腎皮質と腎髄質の境界辺りへの[11C]DAO-1903の高い集積はDAO特異的であると想定された。また急性腎機能障害モデルを用いて同様の実験を行い同様の結果が得られたものの、損傷部位への非特異結合が多く、コントロール群と腎機能障害群を比較することは不可能であった 正常マウスを用いてPET撮像を行ったところ、[11C]DAO-1903は腎臓、膀胱、小腸で高い集積がみられたがCompound8を前投与したところ小腸は正常マウスと比較して同程度であったが腎臓および膀胱への放射能集積は大きく低下した。その一方で血液中の放射能濃度は上昇した。これはDAO-1903と同様に Compound8がPgPの基質となり、腎臓でのDAO-1903の分泌がCompound8によって阻害されたためと想定された。[11C]DAO-1903は主に腎臓および小腸経由で排泄されると想定された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は既存のPETプローブ([11C]DAO-1903)を用いた腎機能評価を行うとともにベンジル[11C]セリンの合成を試みる予定であったが、研究代表者の妊娠のため有機溶媒や放射性物質を用いた実験を継続することができなくなったため。進捗が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き[11C]DAO-1903を用いた動物実験を行う。まずは前回使用した腎機能障害モデルよりも損傷程度の軽いモデルを作成しin vitroオートラジオグラフィを行い再びコントロール群との比較検討を行う。さらに、組織染色や免疫染色等で集積部位とDAOとの関連を確認する。PETを用いた実験では腎臓への集積が腎排泄を反映しているのかDAOを反映しているのかを判別するためにまずは腎機能評価プローブとして広く使用されている99mTc-MAG3, 99mTc-DTPA, 99mTc-DMSAなどを用いたSPECT撮像を行い[11C]DAO-1903と動態を比較する。さらに[11C]DAO-1903の代謝物分析を行うことによりさらに腎臓への集積とDAOとの関連を検証する。 また新規にベンジル[11C]セリンおよび[11C]セリンの合成を試みる他、既報の11C標識SR阻害剤、DAO阻害剤の合成も検討する。
|