研究課題/領域番号 |
23K07201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
河村 英将 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (80431716)
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研究分担者 |
岡野 奈緒子 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 准教授 (00647349)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | QOL / AI / 重粒子線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療技術の進歩により生存率のみでなく、治療後のQuality of Life (QOL)の維持が求められている。QOLのデータはその性質上データ量が多いことや、他の指標との関連が明確でない場合があることなどから、通常の統計解析による予測には限界があり、従来の報告は少数例での検討など限定的である。人工知能(AI)を利用してQOLを予測することが一部の領域で検討されているが、確立していない。本研究ではAIを利用して、治療前の臨床情報やQOL指標から、重粒子線治療後のQOLを予測することで意思決定支援を行うシステムを作成する。
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研究実績の概要 |
がん治療技術の進歩により生存率のみでなく、治療後のQuality of Life (QOL)の維持が求められている。治療前の状況から、治療後のQOLを予測することが可能であれば、治療法選択の大きな助けになる。しかしながらQOLの解析は通常の手法による解析ではデータの膨大さなどから限界がある。本研究は当院で行われた重粒子線治療の前向き観察研究等によるQOLデータをAIの利用により解析し、治療前の臨床情報やQOL指標から、重粒子線治療後のQOLを予測することで意思決定支援を行うシステムの作成を目的としている。初年度の実績であるが、治療前の臨床情報やQOL指標から治療後のQOLを予測するシステムを作成するにあたり、初期段階として臨床情報とQOLを統合したデータベースの確認作業を進めた。同時にデータベースからのデータの取り出しに関して検証を進めた。並行して、大規模データを扱う前の基礎的な検討として、臓器ごとの一部のデータを利用した統計学的解析を行い、前立腺癌、肺癌についてQOLデータの統計学的解析結果について学会発表を行った。さらに、予備的な検討として、これらの発表に用いた臓器別の一部データを用いて、AIによるモデル作成を複数のモデルについて行った。初期的な段階であるが、作成したモデルにより治療前の臨床情報およびQOLから治療後のQOLを一定のレベルで予測することが確認できた。今後、より大規模なデータのクレンジングを行い、利用可能になれば、より精度の高いモデルが複数の領域に置いて可能になると考えられ、Webアプリの実装に向けて検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療前の臨床情報やQOL指標から、重粒子線治療後のQOLを予測することで意思決定支援を行うシステムを作成するにあたり、初期段階として臨床情報とQOLを統合したデータベースの確認作業を進めた。同時にデータベースからのデータの取り出しに関して検証を進めた。全体データのクレンジング後に様々な解析を進めるのが当初の計画であったが、この部分に想定以上の時間がかかることが予想されたため、全体進行状況を鑑み、並行して臓器ごとの一部のデータを利用した統計学的解析を行うこととした。前立腺癌、肺癌についてQOLデータの統計学的解析を行い、結果について学会発表を行った。さらに、大規模データを扱う前の基礎的な検討として、これらの発表データを用いてAIによるモデル作成を予備的に行った。線形回帰による直接的な値の推定やSVM、XGBoostなどのいくつかの手法による予測モデルを作成した。初期的な検討であるが、作成したモデルにより治療前の臨床情報及びQOLから治療後のQOLを一定のレベルで予測することが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
データベースの確認作業、データの取り出しについて引き続き進める。データのクレンジングも進める。並行して一部データを利用した統計解析、AIモデルの作成、調整、検証を並行して行うことで全体の遅延を回避する。初期的なモデルにおいて一定の予測が可能であることが確認できたので、研究の推進については順調であると考えている。
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