研究課題/領域番号 |
23K07212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
浅井 宣樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (00621822)
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研究分担者 |
山中 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30597084)
松山 雄樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60870102)
下江 隆司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90647497)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 経動脈的微小血管塞栓療法 / ラット変形性関節症モデル / 異常新生血管 / 経動脈的微細血管塞栓術 / 変形性関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性膝関節症は加齢とともに増加し、高齢者の歩行障害や寝たきりの原因となる疾患であり、今後超高齢化社会となる日本においての新たな治療法の確立は急務である。 変形性関節症の疼痛部位に発生する微細血管の発生やそれに伴走する神経増生が、滑膜炎症やサイトカイン誘導、ひいては関節破壊に至る経過での「関節局所の炎症による組織破壊」の誘因であると考えた。 本研究ではラットの変形性関節症モデルを用いてイミペネム・シラスタチンを塞栓物質として使用し、変形性関節症部位での微細血管の塞栓術を施行することで関節破壊の進行を緩和させるという仮説をレントゲンや組織学的評価を行い検証する
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研究実績の概要 |
ラット変形性関節症モデルを経動脈的微小血管塞栓療法施行群と対照群の2群にわけ、経時的に変形性関節症の進行を評価し、変形性膝関節症に対する経動脈的微小血管塞栓療法の効果を明らかにする。X線学的検討と病理組織学的、免疫組織学的検討、遺伝子発現の検討結果を照合し、本治療法の奏功機序を分子病態レベルで実証する。 10 週齢のWistar 系ラットに対して前十字靭帯および内側半月板切除術を施行し作成したラット変形性膝関節症モデルを対象とし、モデル作成術後2週時点で、イソフルラン麻酔下に鼠径部の剃毛を行い、清潔野で大腿動脈を露出させる。大腿動脈に直視下でカニューラを刺入し、今回の研究の塞栓物質であるイミペネム・シラスタチンと生理食塩水の混合液を注入する。 評価項目として経動脈的微細血管塞栓術後4, 6, 8週で膝関節の単純X線撮影を行う。関節裂隙幅や骨棘の大きさを経時的に計測する。動脈塞栓術の非施行群ラットを対象に比較検討する。 また、全てのラットは8週時点で炭酸ガス吸入によって安楽死させ、膝関節の組織学的評価を行う。膝関節の滑車を含む大腿骨顆部、脛骨顆部の軟骨を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン緩衝で固定する。軟骨は非脱灰し組織を切りだす。切り出した組織の矢状面での切片を作成し、組織学的にヘマトキシリンエオジン染色を行い、組織学的変性をOASRIのスコアを用い各群間で比較検討する。Safranin O染色で細胞外基質産生のプロテオグリカンの染色性を比較検討する。免疫組織学的検討としてMMP13、ADAMTS5の免疫組織染色を行い、軟骨を構成するコラーゲン、アグリカンの分解酵素の発現を評価検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変形性膝関節症モデル作成手術を行う。膝蓋骨を外側へ脱臼させ、前十字靭帯を切除し、内側半月板も切除する。関節包と皮膚を縫合して手術を終了する。手術日を術後0日とし、術後2週でモデル成立とする。モデル作成術後2週時点で大腿動脈を露出させる。大腿動脈に直視下でカニューラ(ニューロサイエンス社,ラット大腿動静脈用カテーテルR-FAC/FVC)を刺入する。生理食塩水5mlにイミペネム・シラスタチンナトリウム500mgを混和し、スターラーにて懸濁液を作成する。血管を鑷子で把持しながら針を刺入し、懸濁液0.2mlを注入する。創内を洗浄し、皮膚を縫合して処置を終了する。 経動脈的微細血管塞栓術後4, 6, 8週で膝関節の単純X線撮影を行う。関節裂隙幅、骨棘の大きさを経時的に計測する。それらの検討項目をTAME非施行群ラットを対象に比較検討する。 全てのラットは8週時点で膝関節の組織学的評価を行う。膝関節の滑車を含む大腿骨顆部、脛骨顆部の軟骨を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン緩衝で固定する。軟骨は非脱灰し組織を切りだす。切り出した組織の矢状面での切片を作成し、組織学的にヘマトキシリンエオジン染色を行い、組織学的変性をOASRIのスコアを用い各群間で比較検討する。Safranin O染色で細胞外基質産生のプロテオグリカンの染色性を比較検討する。免疫組織学的検討として免疫組織染色を行い、軟骨を構成するコラーゲン、アグリカンの分解酵素の発現を評価検討する。
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今後の研究の推進方策 |
和歌山県立医科大学整形外科学講座の研究室ではラットを用いた動物実験を常時施行している。今回の実験に必要な空間、実験台、麻酔器、顕微鏡など基本的な環境は整っている。 ラット変形性関節症モデルを経動脈的微小血管塞栓療法施行群と対照群の2群にわけ、経時的に変形性関節症の進行を評価し、変形性膝関節症に対する経動脈的微小血管塞栓療法の効果を明らかにする。X線学的検討と病理組織学的、免疫組織学的検討、遺伝子発現の検討結果を照合し、本治療法の奏功機序を分子病態レベルで実証する。3年計画で行い、最終年度を経て、学会発表、論文の執筆につなげてゆく。
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