研究課題/領域番号 |
23K07216
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
町田 治彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70439834)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 二重エネルギーCT / 深層学習再構成 / 造影剤減量 / ヨード密度値 / 悪性腫瘍 / 腎細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、悪性腫瘍症例の経過観察目的である深層学習再構成(DLR)を併用した造影二重エネルギーCT(DECT)検査において、被ばくにも配慮しつつ合理的に造影剤を減量できるように検査法の最適化と標準化を行うこと、造影剤減量時でも適用可能な治療効果評価法を確立することを並行して進めていく。
|
研究実績の概要 |
悪性腫瘍症例に対する造影CT検査での非手術療法による治療効果の評価は、ガイドラインで推奨されている腫瘍のサイズやCT値の計測を行なっても限界がある。二重エネルギーCT(DECT)はヨード密度値を計測でき、生存する腫瘍組織による造影剤の取り込みを正確に定量評価できる。腎機能障害の合併例では造影剤の合理的な減量が必要であるが、最新の深層学習再構成(DLR)を併用すれば、画質を維持しつつ被ばくの低減や造影剤の減量を合理的に行える。しかし、DLRを併用した造影DECT検査でのヨード密度値の計測が非手術療法による悪性腫瘍の治療効果評価に本当に有用か、造影剤減量時のヨード密度値をいかに解釈すべきかは不明である。本研究の目的は、この検査で①合理的に造影剤を減量すべく検査法の最適化と標準化を行い、②ヨード密度値の計測にもとづく正確で安定した悪性腫瘍の治療効果評価法を確立することである。 令和5年度は、DLRを併用した造影DECT検査の際、腎機能(推定糸球体濾過量)に基づいて造影剤を合理的に減量してもヨード密度値を適切に評価できる方法として、正規化ヨード密度値(=腫瘍のヨード密度値÷腹部大動脈のヨード密度値)を見出した。造影剤量が通常量、75%(25%低減)、50%(半減)の淡明細胞型腎細胞癌例に対して後方視的研究を行い、腫瘍のヨード密度値は造影剤の減量に伴い低下したが、正規化ヨード密度値は造影剤投与量に依存しないことが判明した。また、淡明細胞型と乳頭状といった異なる組織型の腎細胞癌の鑑別において、腫瘍のヨード密度値より正規化ヨード密度値を指標とすることにより診断能が改善することも判明した。これらの成果につき、国内・国際学会での発表、論文化を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の予定項目として、① 深層学習再構成(DLR)を併用した造影二重エネルギーCT(DECT)検査法の最適化と標準化、② DLR を併用した造影DECT における安定したヨード密度値計測法の確立、③腎臓がんの分子標的薬治療による治療効果評価法の検討、④ 最適化・標準化された造影DECT 検査法にもとづく非手術療法による悪性腫瘍の治療効果評価法の検討を挙げている。 令和5年度は、特に①と②の完遂が目標であった。①については、ファントム製作が遅れている。体重1kgあたり300mgヨードと造影剤量を半減した腹部骨盤CTで最小スライス厚でもDLRを併用すれば診断に耐える画質を維持できることは解明し、すでに論文投稿済みである。②については、乳頭状腎細胞癌例がまだ少なく、さらなる症例数の蓄積を要する。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、これまで得られた成果につき、国内・国際学会での発表を行いつつ、症例数を蓄積して論文化につなげていく。 本研究の予定項目の一つである、①深層学習再構成(DLR)を併用した造影二重エネルギーCT(DECT)検査法の最適化と標準化につき、ファントム製作を続けていく。また、③腎臓がんの分子標的薬治療による治療効果評価法の検討、④ 最適化・標準化された造影DECT 検査法にもとづく非手術療法による悪性腫瘍の治療効果評価法の検討にも可及的速やかに移行していきたい。 腎細胞癌のヨード密度値を計測することは組織型の診断や悪性度の分類、薬物療法に対する治療効果判定などに有用であり、近年注目を集めているラジオミクス(radiomics)研究に発展させ、コンピュータ支援診断につなげていく予定である。
|